第3章 積極
side 胡蝶
私は今、外出先から蝶屋敷に戻っている途中。
治療に使う薬草が切れかかっていたから
街に行き、店で買い出しをしていました。
せっかく街に出たので
屋敷にいる女の子達に、手土産の甘い物も買って
私は屋敷までの道を歩いていた。
…あの子達は、いつも本当に頑張ってくれている。
鬼を倒すことはできないけれど
戦いで傷付いた隊士達を労い、治療を施し
支えている…
そんな風に、自分ができることを精一杯やってくれているから、お土産は私からのご褒美。
それに…
別の時代からやってきた、さんも。
彼女は怪我が完治してから
みんなの何倍も働いていたと聞いている。
最初の頃は、時代の変化に戸惑い
壁にぶち当たることもあったようですけど
それでも挫けず、いつも前向きだった。
あの人が前の時代にいた時
医療機関で働いていたと聞いて、最近では
傷付いた隊士達のお世話を率先してやっていると
アオイから報告も受けている。
治療が終わった隊士達からも
さんのお陰で、すぐ治った、
優しく看病してくれた、
美味しいご飯を作ってくれた、と…
そういう声を、私は何度も聞いていた。
確かにさんは
時々少し抜けているところもあるけれど
私から見ても優しくて、明るくて、前向きで…
一緒に話をするだけで、とても楽しく感じた。
まるで…
新しい姉ができたみたいな気持ちになれた。
初めて会った頃は
別の時代からやってきた、と聞かされて
少々警戒はしていましたが…
心が素直なさんは
警戒するに値しない人だと、私はすぐに気付いた。
彼女と話をする時、表情や雰囲気から
純粋に私の事を慕ってくれているのが滲み出ていたから、姉のように思う時もあり、妹のように思えることもあった。
さんと関わるようになって
彼女の存在は私の中で大きくなっていき
あの人に危険が迫った時は、命懸けで守りたい…
私はそんな風に思っていた。