第3章 積極
さんの事を考えていると、蝶屋敷に到着し、みんなの姿を探していると
ある一室の部屋の前で
アオイとキヨがソワソワしているのを見つけた。
ア「あっ、しのぶ様…!おかえりなさい!」
「只今戻りました。…ここで何をしているのですか?」
キ「えーっと…実はですね…」
2人の話を詳しく聞くと
治療を拒否している隊士の説得を
さんが1人で行なっているようでした。
「そうですか…。さんが…」
…隊士の治療拒否はよくある事。
その理由は、今回の人と同じように
大切だった友人かつ同僚が目の前で鬼に殺され
自分だけが助かった場合が多い。
…そんな人達の説得は、正直に言うと大変。
嘆き、悲しんでいる人を励ますことは
それなりに心労が蓄積されるから。
果たしてさんは
ちゃんと説得できるのでしょうか…
少し不安ではあるものの、さんなら
上手くやってくれるような気がする…
そう思っていると、部屋の中から
隊士の声…、そして、さんの声も聞こえてきた。
「俺は……このまま死んだって、いい…
もう俺には……生きる理由が…何もない…」
『…。そうですか、わかりました。
じゃあもうここに居る理由はないですね?
屋敷から出て行って下さい。』
「!?」
ア・キ「「えぇーーー!?」」
さんの受け答えに驚かされ
それはアオイとキヨも同じ気持ちで
部屋の外の通路には驚嘆の声が響いていた。
「っ、アンタ…ふざけてんのか?
俺は怪我してて歩けないんだよ。」
『そうでしたか…。じゃあ私が手伝いますよ!
早く体起こしてもらえます?』
…説得するのかと思いきや、
さんは隊士を追い出そうとしている。
流石の私も、彼女の意図が全くわからなくて
茫然としていると、中から隊士の怒鳴り声が聞こえてきた。