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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第3章 積極



『治療を拒否してる…?隊士の人が?』


キ「はい…。2日前に運ばれてきた人なのですが
どうやら戦いの際、同僚で友人だった隊士が
鬼に殺されてしまったようで…。」


ア「中にいる隊士の人は鬼の毒を喰らっていて、昨日意識が戻った為、早めに薬を飲んで頂かないと、後遺症が残り…
最悪の場合、命を落とす可能性もあります。」




う〜ん…

確かにそれは困ったなぁ…。


このままずっと治療を拒否され続けて
万が一のことになったら、この蝶屋敷の主、
柱としての胡蝶さんの信用問題にも関わる可能性がある。




今、胡蝶さんは外出中だし
彼女が不在の間にそんな結果になったら
申し訳が立たないよね。





『んー…、分かった。
じゃあ私がその隊士さんと話してくるよ。』

ア「え?さんがですか?」

『うん。治療させてもらえるように
頑張って頼んでくる!』


キ「で、でも…
中にいる隊士さん、すっごく怒ってますよ…?
さっきも私とアオイさんに、出てけー!って言ってきて
物を投げてきたんですから…」




…なにそれ、女の子に物投げるとか正気?

男の風上にも置けない人だな。




でも今は、怒り返したところで
何の意味もないから…





とりあえず、一旦話をする為に
私は1人で隊士がいる部屋に足を踏み入れた。





『こんにちは、お会いするのは初めてですよね?
といいます。よろしくお願いします。』


「…。」





…うん、何となくこうなるとは思ってたけど
思いっきり無視されてる。



隊士の人は
ベットの上で体を横に向けて
布団を上の方まで被り寝転がっているから、顔すら見えない状態。



こういう患者さんは令和時代にもいたし
打ち解けるのは難しいけど…


このまま引き下がって、諦めるつもりは無い。





『寝たままでいいので聞いて下さい。
貴方は早く薬を飲まないと、とても危険な状態なんです。
だから…』


「…別に、いい。」

『……はい?』

「俺は……このまま死んだって、いい…
もう俺には……生きる理由が…何もない…」





…背を向けたまま、そう呟いた隊士の声は
何だかとても震えているように聞こえた。



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