第2章 大正
「冨岡さんは、さんが目覚める前に指令が来てしまったので、もうこの屋敷にはいませんが、貴方のこと、とても心配していたようですよ?」
『そうなんだ…。ちゃんと顔を見ながら
直接お礼を伝えたかったなぁ…。』
「大丈夫ですよ。きっとまたすぐ会えますから。」
『??そう、なの…?』
何で胡蝶さんがそんな事分かるのか…
私は不思議に思って、理由を尋ねたら
ニコニコの笑顔を返されるだけで、何も言ってくれなかった。
「では、私も任務がありますので
今日はこの辺りで失礼します。
くれぐれも無理して出歩いたりせず、安静にしてて下さいね?」
『……。動けと言われても痛くて動けないよ…』
こんなに体の痛みを感じた事なんて一度もないし
肋骨が折れて入院した患者のお世話は何度かしたけど
自分が同じ怪我をするなんて
初めの体験なんだもん。
ベットで横になったままでも痛くて
顔を引き攣らせている私を
胡蝶さんはクスッと笑って、扉の方に向かって行った。
『あっ、あの…!』
「ん?どうしました?」
『えっと…、怪我の手当をしてくれて
本当にありがとね…?
朝からお仕事なのに、話を聞いてくれて…
すごく、嬉しかった…。
また…貴方とお喋り、したいんだけど…
だめ…かな…?』
私の言葉を聞いた胡蝶さんは
ちょっと驚いているような表情だった。
私は、令和の時代にいた頃
誰かと話す事はあっても、自分のことを話せるような友達は1人もいなかった。
でも胡蝶さんは、ちょっと棘のある言い方をするけど
嫌悪感を抱かずに話ができた…、自分の素を出して話せた…
私が女の子に対して、もっと仲良くなりたい…って思ったのは、胡蝶さんが初めての人だった。
「ふふ…っ、あははっ」
『!?な、なんで笑うの!?』
「私と話したいなんて言う人
さんが初めてだから吃驚したので、つい。」
『え…そう、なの…?』
胡蝶さん、めっちゃ美人で
笑ったらすごく可愛いのに……
女の子同士は合う合わないがあるから
仲良くなれない人もいるだろうけど…
男の人なら、胡蝶さんと話したいって思う人
たくさんいるんじゃないの…?