第2章 大正
「眼鏡を外した方がいいと思いますが…
そんなに視力が悪いのですか?」
『ううん、これは伊達メガネなの。』
「?伊達、とは何でしょうか?」
『えーっと…ね…、眼鏡だけど
視力の補正をする機能は無いっていうか…
とにかく、視力は悪く無いってこと。』
「では何のために、眼鏡を掛けているのですか?」
『そんなの決まってるじゃん!
眼鏡かけた方が賢く見えるからだよ!!』
「…。」
『え…?あ、あれ…、私、何か変な事言っちゃった…?』
「いいえ、大丈夫です。
さんは少し変わった考え方をするのだと思っただけですから。」
…それって、私が変だと言っているようなものだよね。
胡蝶さんは悪気なく言っているようだけど
私にとっては、心のダメージが地味に削られていく。
「あ、そうだ。
もう一つ聞きたいことがあったんですけど、
さんは剣術を習っていたのですか?」
『へ…?あ、うん…。剣道って分かるかな?
私、ずっと習ってて…』
「なるほど〜。だから鬼の胴を切れたのですね。
漸く理解出来ました。」
『…ん?あれ……?』
「どうかしましたか?」
『私…、鬼の胴を切った話……したっけ?』
これまで胡蝶さんとは色々な話をしたけど
鬼と戦った時の話は……
まだ何もしてなかったはずなんだけど…。
「それは冨岡さんから報告を受けています。
さんをこの屋敷まで運んでくれた人ですよ?
覚えていますか?」
『冨岡、さん?っ、……あ、!!』
胡蝶さんに尋ねられたことで
私を助けてくれた男性のことを、ハッキリ思い出した。
顔立ちが整っていて、
半分ずつ色が違う羽織りを着ていた人だ…。
胡蝶さんから鬼殺隊のことを聞かれた時
何となく聞き覚えがあるように感じたのは
冨岡さんって人にも、同じ事を聞かれたからだったんだ…。