第19章 看護 ✴︎
これまで冨岡さんと2人きりになった時
色んな話をしてきたけど、家族のことを聞いたのは初めてだった。
鬼殺隊の隊士達の多くは
鬼によって家族を殺されてるって聞いた事があるから…
…家族のことを聞くのは
私は無意識のうちに避けていたみたい。
『きっと…
素敵なお姉さんだったんでしょうね…』
「…。姉は、鬼に殺されていなければ
翌日に祝言を上げるはずだったんだ…。」
『祝言…って確か…』
結婚する、って意味だったよね…?
この世に鬼さえいなければ
今でも夫になる人と幸せに暮らしていたはずなのに…。
初めて聞く冨岡さんの家族の話を聞いて
あまりにも切なくて…涙が出そうになった。
でも私が泣いたところで
冨岡さんも困るだけだろうから…
グッと奥歯を噛み締めて涙を堪えた私は
冨岡さんの元に駆け寄り、正面に座った。
『私は…絶対死なないようにしますから!
ずっとずっと…冨岡さんの側にいます!』
「…。幼い頃に両親は病死し、
姉が鬼によって殺され、天涯孤独となった俺にはもう……、お前の存在が不可欠なんだ…。」
『はい…』
「この前の事…、本当に悪かった…。
改めて謝罪する…」
そう言いながら私に頭を下げた冨岡さんは
鎹鴉の寛三郎さんが言った通り、本当に深く反省しているようで…
その気持ちは痛いほど私にも伝わってきたから
頭を下げている冨岡さんの手を両手で握り締めた。
『もう怒ってないですよ?
でも、2度とあんなことはしないで欲しいです…。』
「しない、約束する、誓う。」
『ふふっ、じゃあ仲直りですね。』
顔を上げて私と視線を合わせた冨岡さんは
私が微笑んでいることで安心したらしく
小さく息を吐いていた。
『まぁ、本音を言えば
もう少し早く謝りに来てくれたら良かったんですけどね〜?』
「っ、ごめん…。
実を言うと今日…、伊黒と甘露寺に偶然会い
が伊黒と2人で出かけた理由を聞いたんだ…。」
『え、そうなんですか?』
「伊黒の贈り物選びを手伝っただけだと知った時は、己自身を殴ってやりたくなった…」
…あ、聞いたのはプレゼントのことだけで
伊黒さんが蜜璃ちゃんに恋してる事は聞いてないんだ。