第19章 看護 ✴︎
『あれ…?この色って…』
用意された浴衣を見ると
色合いが冨岡さんの羽織りと同じである事に気付いた。
綺麗な濃い赤のえんじ色…
冨岡さんの羽織りと同じ色の浴衣を着れるのが嬉しくて、わたしはすぐに自分の隊服を脱ぎ、浴衣を羽織った。
帯を結ぶ事ができない私だけど
用意されていたのは紐よりも幅が太い帯だったから
お腹周りを一周させて結ぶだけで着こなす事ができた。
浴衣に着替え終え、タオルで濡れた髪の毛を拭き取っていると、冨岡さんの足音が聞こえて
部屋の入り口に視線を向けると
今度はちゃんと服を着た状態の冨岡さんが戻って来た。
『あ、おかえりなさい。』
「…浴衣、丁度良さそうだな。」
『はい!すごく綺麗なえんじ色の浴衣ですね?
これって冨岡さんのなんですか?』
「いや…。それは俺の姉のだ。」
『え…!?お姉さんがいるんですか!?
っていうか、
勝手に私に貸しちゃってもいいんですか!?
許可を得てからの方が……』
「…。」
私が質問をすると、冨岡さんが一瞬悲しそうな顔をして、目を伏せてしまっていた。
聞いちゃいけない事を聞いたかな…、と不安に思っていると、冨岡さんは私の側に近づいてきて、畳の上に腰を下ろしていた。
「姉は…、鬼に殺されたから…
もうこの世にはいない…」
『ぇ…っ、ご、ごめんなさい…
無神経な事…聞いちゃって…』
「気にするな。もう何年も前の事だ…」
冨岡さんはそう言ってるけど
この人の様子からして、未だに思い出すと辛くて
苦しくて、お姉さんの死を嘆いているように見える…。
『すみません…、
お姉さんの大事な浴衣なのに、私なんかが借りちゃって…』
「本当に気にするな。
例え生きていても
姉はお前になら喜んで貸してくれるはずだ。」
『えぇ…、そうでしょうか…』
「当然だ。俺の恋人なんだからな。」
『っ…』
…会ってみたかったな、冨岡さんのお姉さんに。