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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第2章 大正





私が令和時代の人間だと伝えてから
胡蝶さんからいくつか質問をされ
正直に答え続けていった。



大正時代の知識について乏しいことや言葉遣いから、この時代の人間とは少し違っていることに、胡蝶は理解してくれたみたい。






「不思議なことが起こるものですね〜。
まさか未来から大正の時代に来るなんて。」


『本当に…何でそんな事が起きたのかな…』

「う〜ん…、それはちょっと分かりませんが
さんは、気がつくと山にいたと
おっしゃってましたよね?
山に来る直前、未来の世界では何をしていましたか?」


『!!そ、それは…』





…どうしよう、飛び降り自殺したこと、
言っちゃっていいのかな。


でもそんなことを話したら
頭がおかしい奴だって思われて
引かれたりするんじゃないかな…?



それに自殺した事を話したら
当然その理由を聞かれることになる…



母が殺されて、職場をクビになって…




あの時の絶望した気持ちを思い出すだけで
胸が苦しくなった。





「…。無理に話さなくても、大丈夫ですよ。」

『っ、え…?』

「人にはそれぞれ、個人的な事情がありますから。
話したくなければ、言わなくてもいいです。」


『っ……ふぅ…』





…嬉しかった。


胡蝶さんかそんな風に言ってくれて
すごく嬉しかった。




辛いことがあったのを察してくれたみたいで
無理して話す必要はないと、気遣ってくれるのが嬉しい…。





私はこれまで、気遣われるよりも
気遣うことの方が多かったから…。



こんな風に優しく扱われるのなんて
本当に久しぶりで、嬉しさのあまり、涙がボロボロと溢れて出来ていた。





「あらあら、そんなに泣かないで下さい。」




そう言いながらハンカチを差し出してくれた胡蝶さん。



涙を拭うのに邪魔な眼鏡を外すと、
胡蝶さんは私の顔を見て、なぜか驚いているようだった。





「さんは…、とても綺麗な顔立ちをされていますね?」


『ん!?き、きれい…!?私が!?』



…そんなの初めて言われたんだけど。



物心ついた時から眼鏡をかけていたし
自分の顔を綺麗とか…そんなの思ったことないよ…。



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