第2章 大正
ずっと笑顔で笑ってる胡蝶さんの口から出た言葉は、何となく棘を感じて、私は苦笑いが溢れた。
「では、次の質問にいきますね?
さん、貴方は……何者なんですか?」
『何者って…、人間だけど…』
「それは勿論分かっていますが
貴方のその服装…、この辺りでは見ない類です。
それとその奇妙な眼鏡も。」
『奇妙って…、結構気に入ってる眼鏡なのに…』
「では、きっとさんのセンスがないのですね〜」
…ひどい。
胡蝶さん、笑顔のまま毒を吐くから
そのギャップにやられて、何も言えなくなる。
「…話を戻しましょう。
さん、あなたは何処から来たのですか?」
どこから…?
何て答えればいいのかな…。
病院の屋上から飛び降りて
いきなり山の中にいた、なんて言って
信じてもらえるのかな…。
「この大正の時代
さんが着ている、そのような型の服を
売っているお店は見たことがありません。」
『っ、え……。大正…?
今…大正時代って、言った…?』
「??はい、今は大正の時代ですよ?」
…いやいや、今は令和時代でしょ。
一つの仮説が頭の中に思い浮かんだけど
そんな事はありえない、と否定した。
でも、私の服装を変わってるって言うことの方が変だ。
私が今着ている服は全部
ジー◯ーで買った安物だけど、派手でも地味でもないようなジャンルだから。
それに、私からしたら
今、胡蝶さんが着ている服の方が見たことがないもの。
山の中で倒れていた人達と同じように
上衣は学生服みたいだけど、
下衣は昔の人が着ていたような袴…みたいで…
『…。嘘でしょぉ……。
こんなこと……絶対ありえないよぉ……』
「さん?」
『今の時代が大正とか…
そんなの…私が生まれる前のことなのに……』
「生まれる前…?どういうことでしょうか?」
『私が生活していたのは……令和、と呼ばれる時代です。』
「レイワ…?」
『今から大体…100年以上は後の時代です。』
「!?」
…私の言葉を聞いた胡蝶さんは
この日初めて、笑顔から驚いた顔に変わった。