第2章 大正
胡蝶さんは、私が驚いている様子を
ずっと笑顔を絶やさないまま見ていた。
「私も、あなたの年齢を聞いてもいいでしょうか?」
『えっと……20歳、です…。』
「ふふっ、やはり私より歳が上ですね?
なので敬語は外して下さい。
さん、と呼ばせてもらいます。」
『あ、はい……。
じゃなくて…、うん…。』
…胡蝶さんって、優しい人なのかな。
私が警戒しないように、
ずっと優しいトーンの声で話してくれるし
表情も笑顔のまま変わらない。
私が話しやすいように、気を遣ってくれているのが
何となく分かった。
「では、自己紹介も済んだので…
いくつか私の質問に答えてもらっていいでしょうか?
さんも聞きたいことがあれば
直ぐに聞いてください。」
『うん…。でも、あの……
上手く説明できるかは、分からない、けど…』
「大丈夫、この部屋には私と貴方しかいないので
気軽に話をしましょう。」
胡蝶さんの言葉に私はコクンと頷いて
彼女からの質問に、全部正直に答えると決めた。
「ではまず、昨日の夜の出来事を覚えていますか?」
『昨日…?んーっと……
確か山の中で……、変な妖怪と戦って…』
「それは多分、鬼のことですね。」
『鬼…って、呼ばれてるんだ…』
…でも私には、妖怪の方がしっくりくる。
だってあの鬼、人間を食べてたし
見た目だってすごく不気味だったんだもん。
そもそもなんで
山の中にあんな鬼がいたんだろう…。
あんな気持ち悪い生物がこの地球上にいるとか、絶対有り得ないのに。
「鬼を妖怪、と仰るということは
さんは鬼殺隊ではないのですね。」
『キサツ、タイ…?』
…あれ、何かこの質問
もう聞かれたような気がするんだけど……?
えっと、確か…鬼殺隊っていうのは…
『鬼を狩る組織、だよね…?
一度も聞いたことなかった、かな…』
「そうでしょうね。
鬼の存在すら知らなかったのに
鬼殺隊を知っているとは思えませんから。」
…これ、嫌味言われてんの?