第17章 進物
「その元結、
この前嬢さんを助けてた男性に渡すんだろう?
あの人と恋仲なのかい?」
『へっ…!?あ、あの時…っ、見てたんですか!?』
「うちの店の前で騒いでたんだから当然だろう。」
…それはまぁ、ごもっともです。
でもまさか冨岡さんと恋人であることまで見抜かれるとは思ってなくて反応に困っていると
おばさんはニコニコと笑っていた。
「あの紺碧の瞳をした人…、いい男じゃないか。
それを渡して喜んで貰えるといいねぇ?」
『うぅ…、』
おばさんに冨岡さんとの仲を的中させられた私は
恥ずかしさから顔が熱くなってきて…
何も言えずに唸り声を上げている私を
おばさんはクスクスと笑っていた。
「また欲しい物が出来たらウチにおいで?
嬢さんになら安くしてあげるから。」
『はい…、ありがとうございます…。』
挨拶を終えた私は
先に店の外に出ている伊黒さんの元へと向かった。
『すみません伊黒さんっ、お待たせしました!』
「いや…。それより今日は助かった。
……感謝する。」
『いえ!私も自分の買い物できましたし…
その贈り物、喜んで貰えるといいですね!』
「ん…。」
買った包みに目を向けた伊黒さんは
好きな人を思い浮かべているのか、とても優しい目をしていて…
そんな伊黒さんを見ているだけで
私も胸が暖かくなった感じがした。
「…、
買い物に付き合ってくれた礼をしてやる。」
『えぇ?いいですよそんな…。』
「それでは俺の気が済まん。甘い物は好きか?」
『はい…、大好きです…。』
「では甘味処に行くぞ。」
甘い物が好物の私は
伊黒さんが提案してくれた誘惑に負けて、先に歩き出した伊黒さんの後を大人しく着いて行き
少しの間歩き続けると、昔ならではの趣があるお店に到着した。
「ここは団子が美味いことで有名らしい。」
『そうなんですか?
ふふっ、楽しみです!!』
店に入って注文を済ませた私達。
特に会話がないまま待っていると
すぐに頼んだ物が運ばれて来た。