第17章 進物
「お待たせして悪かったね?」
『あ、あの…おばさん…。
この青い紐って…』
「ん…?あぁ、これかい?
元結は白色の物が多いけど
違う色にしたら綺麗になるか試してみたのさ。
それは私が染めたものなんだよ。」
『これ…、髪を結んでる男の人にも…似合いますか…?』
私のその質問に、二、三度目をパチパチと瞬きをしたおばさんは、にっこりと優しく微笑んだ。
「勿論、良く似合うと思うよ?
実を言うとね、この前嬢さんの着物姿を見て
染めてみようと思ったんだよ。」
『え…?そうなんですか…?』
「あの時、嬢さんが綺麗に着物を着こなしていたのが嬉しくて忘れられなくてねぇ。
綺麗に染まったから商品にしてみたが…
どうする?欲しければ安くしておくよ。」
『えっ、と…、どうしようかな…』
冨岡さんの瞳と同じ色のものだから
自分で使ってみたくて、喉から手が出るほど欲しい…。
でも、真剣に贈り物を選ぶ伊黒さんを見てたら
私も冨岡さんにこの元結をプレゼントとして贈りたい…。
どっちの気持ちを優先させるべきか悩んでいると
伊黒さんがその商品を手に取っていた。
「欲しいのなら早く買え。」
『うっ…、す、すみません…。おばさん、これ下さい。』
「へぇ、毎度あり。」
とりあえず買う事は決定事項だったから
伊黒さんを待たせない為に、ささっと料金を払い
同じ様に包んでもらった。
「…よし、では行くぞ。長々と邪魔をして
すまなかったな。」
「いいえ、またいつでも来てくださいな。」
『おばさん、ありがとうございました!』
「あ、嬢さん、ちょっと。」
『…?』
伊黒さんの後に続いて
お店の出口に向かって歩き出そうとしたら
おばさんは手招きをして私を引き留めて来た。
不思議に思いながらおばさんの元に近づくと
伊黒さんには聞こえない様に小声で話し出した。