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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第2章 大正




「冨岡さん、そろそろ説明して下さい。
この女性の身に、一体何があったのか…
知っている事だけでもいいので
教えてくれませんか?」


「…分かった、話す。」




俺は胡蝶に、
自分が知っていることを全て話した。



分からないことの方が多いが
女が眠っている以上、知る術は何もない…。


だから胡蝶にとっては
今、俺から話を聞く事しか出来ない為
高尾山で見たこと、鬼と話していたこと、
幾人もの隊士が殺されていたことを包み隠さず説明した。





「戊(つちのえ)の隊士が全滅、ですか…。
信じ難い話ですね…。」

「あぁ…、だが事実だ。
既に隠部隊が遺体の回収をしているだろう。」


「そうですね…。
でもこの女性、自分の刀を持っていませんでしたし
剣士ではないと思いますが…、本当に鬼の胴を切ったのですか?」


「それは俺も見ていない。
鬼がトドメを刺そうとしていた時
そう話していたのを聞いただけだ。」


「う〜ん…。鬼が自分の失態を
嘘をついて話すとは思えないですし…
事実だと受け入れるしかなさそうですね?」





胡蝶の言う通り、己の目で見ていないとはいえ
隊士達を全滅させた鬼と、この女が戦っていた事は確実だと、そう思わざるを得なかった。





「まぁなんにせよ、後は直接
彼女から話を聞くしかなさそうですね。
目が覚めるのを待ちましょう。」




胡蝶はそう言いながら扉を開け通路に出て行き、俺は、一度だけ眠っている女に目を向けてから
同じように部屋の外へ出た。





「では、私はこのまま部屋で休みます。
冨岡さんも、ゆっくり休んで下さい。」

「……胡蝶。」




背を向けて歩き出した胡蝶に
俺は声を掛け、引き止めた。




「急に押し掛けて悪かった。
…治療をしてくれて、礼を言う。」

「冨岡さんにお礼を言われるなんて…
明日は槍でも降るかもしれませんね?」

「…。」

「ふふっ、おやすみなさい。」




…胡蝶の嫌味を聞いた俺は
礼を言わなければ良かった、と激しく後悔した。






その後、部屋に戻った俺は体を休めた。


日が上り、朝日が差し込んた時刻に目を覚ますと
早々に指令が下され、あの女が目覚める前に
俺は蝶屋敷を出て、仕事に向かった。







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