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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第2章 大正





…なぜか、あの女のことが気になって仕方がない。



今日初めて出会い、
名前も、素性も、何も知らない女だというのに…。



他人に興味関心が無かった俺が



今はあの女のことを…

知りたい…と、そんな事を思ってしまった。




だが今は、胡蝶の治療が終わるのを待つ事しか出来ない。




俺はしばらくの間、落ち着かない気持ちのまま
窓際で外の景色を眺め続けていると
俺がいる部屋に向かってくる足音が聞こえた。




「冨岡さ〜ん、起きてますか〜?
治療はすべて終わりましたよ〜。」





胡蝶は部屋の扉を開ける事なく、
部屋の外から俺に声を掛けると、すぐに立ち去ったようだった。



治療の時間はそこまで長くなかったはずだが
俺にはとても長く感じていた為、サッと立ち上がり部屋を出て、先程あの女を運んだ部屋へ足早に向かった。




…すると、胡蝶は俺が来るのを分かっていたのか
部屋の中ではなく、扉の前の通路に立っていた。





「随分来るのが早いですね?
そんなにあの女性が心配だったのですか?」

「…それより、あの女は大丈夫なのか?」

「また私の質問には答えないんですね…。
その接し方、治した方がいいですよ?」





呆れたように肩をすくめた胡蝶は
部屋の扉を開け中へ入って行き、俺もその後に続いた。



ベットの上にいる女は
所々に包帯が巻かれており、顔色はここに連れてきた時より良くなっていた。






「肋骨が何本か折れていましたが
しばらく安静にしていれば治ります。
腕や肩の傷は数針縫いましたが、
こちらの怪我もじきに治るでしょう。
今は眠っていますが、
明日の朝には目が覚めると思います。」


「…そうか。」




胡蝶の説明を聞くと
自分でもホッと安心したのが分かった。



気持ち良さそうに寝息を立てている女は
眼鏡をかけたままだったが
寝顔はとても穏やかで、ずっと見ていられるようなものだった。



俺はそのまま女の寝顔を見つめていたが
隣にいた胡蝶は、そんな俺に声を掛けてきた。







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