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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第15章 潔白




…なんだ、やっぱりお腹空いてたんじゃん。



隊士達は
私に食事を摂られるのが相当嫌だったみたいで
必死にバクバクと口の中にご飯をかき込んでいた。



毒を盛られる、とか変な噂話を気にしてるなら
否定するのを言葉ではなく、行動で示した方がいい…

今回は私の作戦勝ちだった。




『皆さんいい食べっぷりですね〜。
…ご飯のおかわり、ここに置いておきますから
好きなだけ召し上がって下さい。
食べ終わる頃に、また食器を下げに伺います。』


「あ…、は、はい…」
「ありがとう…ございます…」


『いえいえ、たくさん食べて
早く皆さんの体が良くなって欲しいので…。
では、失礼します。』




彼等にそう告げて部屋を出た私は
通路に置いておいた一人分の膳を持って病室に向かった。






『失礼しまーす、お食事を持ってきました〜』

「!?ど、どうして…」

『まだ体の傷が癒えてないから歩けないんですよね?
そういう方には、部屋まで食事を運んでいるんです。』

「…。そんなことを聞いているんじゃないですよ…」




私が食事を運んできたのは
先日、同じ任務で負傷した隊士がいる病室。


蝶屋敷まで彼を運んで来たのは私なのに
様子を見に来るのがかなり遅れたけど

顔色は随分良くなってきているようだった。




「一体何なんですか…。
急に俺のところに来るなんて…。」

『何って言われても…、ただお食事を…』

「っ、ふざけないで下さい!!
さんは…、俺のこと恨んでるんでしょ!?
アイツが負傷したのは…、あなたのせいだって証言した俺を…!」

『…。』


「そのせいで
謹慎命令が下されたそうじゃないですか…。
そりゃあ恨んでますよね?憎いですよね?
怪我した俺をここまで運んで助けてあげたのにって…、そう思ってるんでしょ…!?!?」




…勢いよく私にそう罵った隊士さんは
すごく怒っているようにも見えたけど、
何だか私の目には…とても辛そうに見えた。




きっとこの人は、嘘の証言をしたことで
自分の事を恥じて、後悔しているんだろう。

地主の父を持つ、あの隊士の言う通りにしないと
家族が悲しむ…

家族を守りたいから嘘をつくしかなかった…



目の前にいる隊士を見ていると
そんな風に考えているのが苦しいくらいに伝わってきた。




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