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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第15章 潔白




"謹慎中のこいつが何で来てるの?"

とか

"隊士を怪我させたとか酷くね?"

とか…。





彼らの表情からそんな思考が読み取れたけど
こんな事でいちいち傷付く必要はない…


私は無実なんだから
冨岡さんが言ってくれたように
堂々としてればいいはずだ。





『さぁどうぞ?召し上がって下さい。』

「「「……。」」」

『?食べないんですか?』

「い、いや…」「えーっ、と…」




時間的にお腹は空いているはずの隊士達は
なかなか箸に手をつけようとはしなかった。


その理由はたぶん…





『心配しなくても、毒なんて仕込んでませんよ?』


「「「っ……」」」



…図星か。




部屋に引き篭もるのをやめた日に聞いた新たな噂…


それは私が食事に毒を仕込んで
気に入った隊士を寝込ませて、看病する事で惚れさせる、という意味不明な話が話題になっていた。



あまりにも馬鹿げていて
聞いた時は怒りを通り越して呆れたけど
彼等はその話を鵜呑みにしているようで

私が食事を勧めても、全く食べようとはしてくれなかった。





『…。皆さん、食べないんですか?
アオイちゃんと一緒に作ったので
味の保証はできますけど。』

「でも…」「…なぁ?」「なんていうか…」

『……。』




噂話を気にしているくせに
私に面と向かって言いたい事を言わず
ただモジモジしている隊士達を見てると、気分が悪くなってきた私は、カートに置いてある予備の箸を手に取った。





『いらないなら皆さんの分、私が食べますね?』

「えっ…、ちょっ…!」

『んーっ!この照り焼きおいし〜っ!!』

「なっ…!それ俺のおかず…!!」

『えー?だって食べようとしてなかったからいらないんですよね?』

「そ、そんなこと言ってないじゃないですか!!」

『すぐに食べないのが悪いんですよ〜。
えーっと、次は…。あなたのも食べちゃいますね?』

「っ……、だめです!これは俺の分ですから!!」

『そうですか?じゃあ他の人の分を…』

「「っっ……」」




誰の分を食べてやろうか、と箸を持ったまま振り向いた私を見た隊士達は、みんな揃って、それぞれ目の前の食事を食べ始めていた。




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