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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第14章 濡衣




…勿論不安もあるし
初めてのことだから少なからず恐怖もある。



でも、冨岡さんはいつも、どんなことでも
私の意思を尊重してくれる…


それに
ちゃんと私の許可を得ようとしてくれる真面目加減…



私を想ってくれてるのが伝わって来て
自然と笑みが溢れた。





『…ふふっ』

「どうした?」

『なんか…冨岡さんらしいな〜って思って。』

「…よく分からないが
少しは元気を取り戻したようだな。」

『はいっ、冨岡さんのお陰です。
ありがとうございました!』

「礼には及ばない。
では…、俺はそろそろ出て行く。」

『ぁ…はい…』





…もう行っちゃうんだ。




冨岡さんがこれから何処に行くのか分からないけど…

きっと、私の事を助けてくれる為に
動いてくれるのかもしれない…。



黙って見送るべきだとは思うんだけど…





『っ…』




背後にいたはずの冨岡さんは
すでに立ち上がっていて、
部屋から出て行こうとしている後ろ姿が視界に入った瞬間、無性に寂しくなって…



『冨岡さんっ…』

「…っ!!……」




私は冨岡さんの体に背後から抱き付いて
腕を前に回し、ギュッと力を込めた。





『ごめんなさい…。
もう少しだけ……一緒にいたいです…。』


「っ…、なぜ…そんな事を言う…」


『冨岡さんが…好き、だから…。
離れるのが寂しいんです…。』




迷惑に思ってるかもしれないけど
もう少しだけ……冨岡さんを傍に感じたい…


会えない間も一人で頑張れるように
冨岡さんの温もりを充電しておきたい…




そんな気持ちを込めて抱き付いたままでいると

冨岡さんの掌が
体の正面に回している私の腕に載せられた。





「そのような可愛らしい事を言われ
こんな事をされたら……」


『…え?っ、!!』




強く手を握られたと思ったら
簡単に腕を振り解かれて…


冨岡さんは私の手を握り締めたまま振り返った。




「我慢して早々に立ち去ろうとしたが…
…お前のせいで、もう無理だ。」


『む、無理って……?何が……、っ、ンッ…!?』





何が私のせいで、何が無理なのか…


その理由を聞こうとしたら
冨岡さんは私の唇をキスで塞ぎ、私の言葉は発せられることなく飲み込まれてしまった。





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