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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第2章 大正




本当にこんな女が
一人で鬼を相手に戦ったのか…?


俄には信じられず、俺は再び女に問い掛けた。




「お前、剣の技は誰かに教えを乞うていたのか?
呼吸は何を使う?」

『…う、ぅ……』




…女は俺の問いには答えず
何故か呻き声を出すだけだった。


そこまで難しい質問はしていないはずなんだが…



不思議に思っていると、女は息を荒くしながら
小さな声で呟きだした。





『鬼、とか……キサツ、タイ…とか…
呼吸、とか……、言ってる、意味……
ぜんぜん…分からない、です…』


「…。」




…いや、分かるだろう。

別に難しい質問はしていない。


なぜ話が通じないんだ?






『はぁ…、はぁっ…、
もう…完全、に……キャパ、超えてるって…』

「??きゃ、ぱ?とは、何だ?」




初めて聞く言葉が理解出来ずにいると
女は再び口を開いた。






『あなたの、言ってる…こと、の意味は…
何一つ……分からない…です、けど…』




後に続く言葉を待っていると
女は伏せていた目を開き、眼鏡越しに俺を目を合わせ、目尻を下げて微笑んだ。






『たすけ、て…くれ、て…っ……
あ、ありが…と…』


「っ、おい!……っ、!?」







突然の礼に驚いていると
女は血を流し過ぎたせいで限界が来てしまったのか、気を失ってしまった。



木にもたれていた体は横に倒れ
咄嗟に女の体を支えると、その反動で
顔にかけられていた奇妙な眼鏡が地面に落ちた。





ドクンッ





なんだ……胸の奥が熱い……





眼鏡を外した女の素顔を見ただけだと言うのに
なぜ…




心拍が上がる…?







そうなる理由は、俺には全く理解が出来なかったが…







この女の素顔は、美しい、と…



それだけは理解することができた。





これまで一度も
女のことを美しいと思った事はなかった。


周囲から美人だと噂されている女性も
俺からしたら、ただの女性のうちの一人、としか思えなかった。



しかし、この女は心から"美しい"と言える……


この日、人生で初めて女性のことを美しいと思った。





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