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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第2章 大正





「……女が一人で、よくここまで堪えた。」

『ぇ…』




女に背を向けたまま、褒め言葉を発した俺は

鬼が驚いている間に
一気に間合いを詰めて首を切り落とした。



鬼は、何が起きたのか分かっていないようで
放心状態のまま、塵となって消えていく…



下弦の鬼ではなかったが
俺よりも背の高さがあり、人間を沢山喰ったのか
切り落としはしたものの、首の硬さは硬い方だった。




鬼が消えたことにより、俺は刀を鞘に収め
一人で鬼と戦っていた女の状態を見る為
後ろを振り返った。




「…。」




女を視界に捉えると、俺は驚きのあまり、何も言葉が出なかった。





鬼殺隊士とは思えない、見た事のない服装。


肩ぐらいまでの長さの黒髪に、
まるで似合っていない奇妙な眼鏡。


俺が来るまでの間
先程の鬼を相手にしていたとは思えないほどの華奢な体。




こんな女が、鬼を相手に戦い
死なずに生きていて、鬼の胴を真っ二つにしたと言うのか…?



見た目では分からないほどの力が
この女に秘められているのか…?




俺は驚きながらも
木に寄りかかったままでいる女に近付き
怪我の具合を確認した。



命に別状はないが、肋骨が数本折れていて
肩や腕には、鬼によって切られたであろう傷跡がいくつか残っていた。





『あ…あの……、さっきの…妖怪は…?』



…妖怪?


あれを鬼と言わず、妖怪と言うということは
鬼を見たのは初めてだったんだろう。





「あれは妖怪ではなく、人喰い鬼だ。
急所の首を切り落としたから、既に塵となって消えた。」


『ひ、とくい…?お、おに…?』


「俺達鬼殺隊は、先程の鬼達を狩る組織だ。
お前のその容姿からすると
鬼殺隊士というわけではなさそうだな…
どこから来たんだ?」


『キサツ、タイ……?狩る、って……えぇ……』





…この女、俺の話を全く理解していないな。



怪我によって、頭が上手く機能していないのだろうか。





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