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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第14章 濡衣




自分の耳を両手で塞いだ私は
向かってくる冨岡さんに背を向けた。



「…。」




そんな私を見ても、冨岡さんは引き返すことなく
私の元に近づいて来てるのを気配で察した。



『っ…、』




冨岡さんが何をしにここに来たのか知らないけど、今の私は自分の心を守る事で精一杯…。



何も聞きたくない…
憐れんだ目で見られるのが怖い…。




ビクビクと怯えながら耳を塞ぎ続けて…
それでも近付いてくる冨岡さんの気配に耐えられなかった私は、目をギュッと強く瞑った。





「…、落ち着け。」

『……っ、ぇ……』




座り込んでいる私の背後に来た冨岡さんは
何かをポツリと呟くと、私の体を背後から抱き締めてきた。




『……ぁ…』




あったかい…。



背中から感じる冨岡さんの温もりはすごく暖かい…抱き締める強さはすごく優しい…。



…徐々に体の力が抜けて行き
塞いでいた耳から手を外していた。





「落ち着け…、俺はお前を責める気はない。」

『っ、……』

「辛い思いをしているお前の元に
すぐ駆け付けてやれず…悪かった…。」

『そ、んな……』





冨岡さんは…何も悪くないのに…。


ただ私が、不甲斐ないだけなのに…。




何でそんなに優しい声で謝るの…?





「お前は…何も悪くない。
だから堂々としていればいい。」

『っ、無理…ですよ…』

「…何もせず諦めるとは、お前らしくないな。」

『……。』





…私だってこのまま何もせずに
ただじっとしてるだけなんて嫌だけど


謹慎命令を出された以上
外に出たり、屋敷内の行動だって制限されてる…。



こんな状況で…


諦める以外に選択肢でもあるっていうの…?





『じゃあ…どうすればいいんですか…?
私が動いたら、他の人を不幸にするか…
不快な思いをさせるだけなんですよ…?』


「…。お前は何も分かっていないんだな…」


『ぇ…』





冨岡さんが何を言いたいのか
私には全然分からなくて…



背後から抱き締められた体勢のまま
何か言ってくれるのを待っていると、冨岡さんの声がハッキリと私の耳に入って来た…。





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