第14章 濡衣
『……今日で謹慎3日目か…。』
謹慎を命じられてからの私は
必要最低限、自分の部屋から出ていない。
他の隊士と顔を合わせないように
食事も部屋まで運んでもらって、ずっと1人の時間を過ごしていた。
蝶屋敷の仕事も休ませてもらって
アオイちゃん達には申し訳ない気持ちで一杯だけど、今の私は何もやる気が起きなかった。
しのぶちゃんとカナヲちゃんが
気を利かせて鍛錬に誘ってくれても、ずっと断り続けてる。
屋敷で休養している隊士達と顔を合わせるのが怖い、という理由もあるけど、私のせいで
他の人に不快な思いをさせたくなかったから…。
それに、私と関わった事で、しのぶちゃんとカナヲちゃんが悪く言われる可能性だってある…。
もう誰にも迷惑をかけたくない…
未だに私の処分は決まっていないようだけど
誰かに迷惑をかけるくらいなら…
鬼殺隊を辞めることになってもいい…。
窓辺に座り、外の景色をぼーっと見つめながらそんな事を考えていると、私の部屋の入り口の襖が開く音がした。
『…?っ、!?と、冨岡さん…』
「…何日間か会わないうちに
随分生気を失ってしまったようだな。」
『…。』
…そんな言い方をするって事は
噂のことも、謹慎させられていることも
冨岡さんは既に知っているんだろう。
『何か…御用ですか…?』
「…。」
『用がないなら……帰って下さい…』
「…。」
『今は…、1人にさせて下さい…。』
「…。」
…何を言っても無反応な冨岡さんは
窓辺に座る私のそばにゆっくりと歩みを進めて近づいて来た。
『っ…』
やめて…。
こっちに来ないで…。
今の私のこんな姿……冨岡さんに見られたくないの…。
謹慎させられてる私を見て
冨岡さんに情けないって思われるのが…
どうしようもなく怖いんだよ…。
『っ、お願いです…、
私の事は…放っておいて下さい…っ』
「…。、」
『やだッ!何も聞きたくないっ…!』
自分が惨めに見えるのは分かってる…
でも、憐れで惨めだと、冨岡さんの口から言われたら
きっと私は立ち直る事が出来ない。