第14章 濡衣
噂話に続いて、謹慎の命が下された…
恐らく今頃
は辛く苦しんでいるに違いない…。
そんなアイツの心情を考えると
ひどく胸が苦しくなった…。
炭「俺…、さんには何度もお世話になったから、あの人が優しい人だって事は知ってます…。
伊之助と善逸も同じ気持ちです。」
伊「当たり前だろ!!眼鏡女はいい奴だ!!
飯食わしてくれて、菓子も沢山分けてくれたからな!!」
善「俺達の訓練にいつも付き合ってくれてたし…。
重症の隊士がいた時は
一睡もせずに看病するような人だから…
仲間を怪我させるなんて…あり得ないよ。」
「…。」
…
お前は俺の知らないところで
若い奴らにこんなにも慕われていたんだな…。
この3人は、噂話に惑わされず
己の目で見た自身を信じてくれている…
自分の恋人の事を信じてくれる奴らがいるのは、誇らしく思えるものなんだな…。
「…引き止めて悪かった。
詳しく話してくれて…感謝する。」
3人にそう伝えた俺は
蝶屋敷に向かって足を進めた。
屋敷に向かいながら、先程聞いた噂話の件について考えた。
内容が悪質だったことから
噂を流した奴はに対して相当嫌悪を抱いている…。
だが、アイツの性格上
好かれる事はあっても、嫌われたり憎まれたりするとは考え難い。
だから犯人の正体には全く見当もつかないが
見つけたら相応の報いを受けさせてやる…。
俺の恋人を侮辱するような噂を流した奴を
俺は絶対に許さない…。
激しい怒りを感じていると、蝶屋敷に到着し
門の中へ足を踏み入れた。
し「…やっと来たんですか?遅いですよ。」
「胡蝶…。」
…何処かへ出掛ける所だったのか
敷地内に入った瞬間、胡蝶と鉢合わせした。
遅い、と言われたことから
の噂話を知った俺が
いずれここに来る事を、胡蝶は予想していたようだ。