第14章 濡衣
でも、漸く理解できた…。
御館様が私に謹慎命令を出した訳が…。
任務で一緒に行動していた隊士達から
私が怪我を負わせたっていう証言が複数も出てるなら…
御館様も信じざる負えないよね…。
あの親子には本当に頭に来るけど
怒ったところで、どうしようもないんだ…。
『…ありがとね、しのぶちゃん。
私の為に色々調べてくれて。』
「っ、お礼なんて不要です。
さんは私にとって家族のような存在ですから…。今の悪い状況を打開出来ないか考えてみます。」
『……。ううん、もういいよ…』
「え…?」
『さっきね、カヨちゃんから伝令があって
私…、謹慎命令が下されたの。』
「!!!!そんな…!!
どうしてさんが…っ」
…私だって
こんなの理不尽な事だって分かってる。
自分は無罪だって…
怪我を負わせたりなんかしてないって
御館様にもちゃんと証明したい…。
でも…
私の事で隊士達の家族まで巻き込む訳にはいかないよ…。
家族が幸せに暮らしている場所を奪ってまで
私は自分の保身なんてしたくない…。
誰も苦しまずに今の状況を覆す方法なんて
思い浮かばないし、きっと何も無いはずだから。
『ごめんね、しのぶちゃん…。
私はもう、どんな処罰を下されても
ちゃんと受け入れる覚悟は出来てるから…』
「っ、嘘をつかないで下さい!!
こんな濡衣を着せられて…悔しく無いんですか!?」
『…。』
悔しいよ…
悔しいに決まってる…。
この時代に来てから
いつも前を向いて頑張ってきた…
信じた道を突き進んできた…
これまでずっと
色んな人の役に立ちたくて…もっと強くなりたいって…
そう思ってたのに…
私がしてきた事は
今回の件で全て無駄になった……、
どんなに悔しくても
もう諦める事しかできないんだよ…。