第14章 濡衣
「……。」
『…?あ、カヨちゃん。どうしたの?』
鎹鴉のカヨちゃんが窓枠に立っていて
また鬼狩りの指令を伝えに来てくれたのかと思ったけど…
なかなか指令を話してくれないカヨちゃんに、私は違和感を覚えた。
『…カヨちゃん?何かあったの…?』
「任務ノ指令デ来タ訳ジャ無イノ…。
御館様カラノ伝令デネ…。」
『え…?御館様から…?』
カヨちゃんの様子から
私は何だか嫌な予感がして…
話し出してくれるのを待っていると、その予感は的中した。
「…、謹慎命令ヨ。」
『っ、ぇ……、謹、慎…?』
「鬼殺ノ任務ハ勿論、外出モ禁止…。
隊士ニ傷ヲ負ワセタ事ガ
モウ既ニ広マッテルカラ…、
事実確認デキルマデ、屋敷カラ出ルナッテ…」
『っ、どうして…!?どうして私が謹慎なの!?
カヨちゃんも見てたから知ってるでしょ!?
私っ…、人を傷付けるような事した覚えないよ!!』
「分カッテル…。私モ報告ハシタ…。
デモ、御館様ハ
ニ謹慎スルヨウニ伝エテッテ…。」
そんな…っ
御館様は…私のことを信じてくれてないの…?
私が隊士の人を…怪我させたって思ってるの…?
御館様に謹慎の命を下された意味が全然分からなくて…
頭の中が真っ白になっていると
私の部屋にしのぶちゃんちゃんがやって来た。
し「さん…、
分かった事があるので報告しに来ました。」
数時間前に出て行ったしのぶちゃんは
色々と情報を仕入れて来たようで
窓枠の近くに立っている私の元に近付いてきた。
し「まず、先程来られた中年男性の件ですが…
あの人はどうやら、多くの土地を所有している地主さんだそうです。…しかし、最近は利益が出なかった為
西口さんのお父様からお金を借りたことで、生活が出来ていると聞きました。」
『そう…なんだ…』
し「元々、西口さんと例の隊士は
子供の頃から仲が良かったそうですので
きっと親同士も、お金の貸し借りができる程の仲なのでしょうね。」
…だからあの人は
大事な友人である西口さんを傷付けた私に強く当たってきたのか。