第14章 濡衣
「ウガァァァーーーッ!!」
自我のない鬼は
十二鬼月のような強さは無いはず…
それを他の隊士達も分かっているから
1人の隊士が刃を振い、鬼の首を斬り落とした。
「はぁ…、弱い鬼で助かったわ…」
『油断しないで下さい…!!
鬼はまだっ……、!?』
「お、おい…!なんだよこの数…!!」
「なんでこんなに鬼がいるんだよ!!」
…隊士達がそう言いたくなる気持ちも分かる。
鬼を一体倒した瞬間
うじゃうじゃと湧いて出て来た鬼は…
ザッと見たところ30体はいる。
私達の周りを取り囲むように鬼達は現れて
隊士達は狼狽え始めていた。
「確かに数は多いけど大丈夫だろ…
さっきの鬼みたいに
きっと首は硬くないはずだ!」
「そ、そうだな…」
「やるしかないよな…」
冷静さを取り戻した隊士達と共に
私も鬼に対して刀を構えていると
鬼達は一斉に飛びかかって来た。
私達はそれぞれ
襲いかかってくる鬼を次々に倒して行ったけど
倒しても倒しても、鬼は途絶える事なく現れる…
きっとこの山は
鬼と化した動物達の住処のだったんだろう、と予想がついた。
「はぁ、はぁ…」
「くそっ…、キリがないな…」
「どんだけいんだよ…!」
いくら弱い鬼でも数が多い事で
隊士達の疲労が少しずつ見られて来て…
『!!危ない!!後ろ…!!』
「えっ…、ぐぁっ…!!」
私が咄嗟に声を掛けたことで即死にはならなかったけど、隊士の1人が鬼にお腹を殴られて吹き飛ばされてしまった。
このまま長時間戦い続けるのはまずい…
そう推測した私は
周りにいた鬼を数体倒した後、呼吸を整えた。
『……雪の呼吸、参ノ型…、灰雪乱舞。』
早いスピードで動き続ける参ノ型で
私は隊士達の周りにいた鬼達を一掃。
本当は受け身の技だけど
強さを持たない鬼が相手だったから
首を斬り落とすのは容易いことだった。
『ふぅ…、何とか全体倒せた…』
「っ…」
「す、すげぇ…」
「刀が透明…、あんなの見た事ないな…」
私を見て驚いている隊士達の状態を確認すると
その場に立っている人達は
所々服が汚れているだけのようで
ホッと胸を撫で下ろした。