第13章 浮名
『!?と、冨岡さんっ!!
誰かに見られちゃう…!』
「…構わない。」
『っ、でも…』
…力が強すぎて押し潰されそう。
あまりにも強い抱擁で
冨岡さんの刀の鍔が
私のお腹辺りに食い込んでるし…。
痛みから逃れようと身を捩っていると
冨岡さんはさらに抱き締める力を強くした。
『っ、冨岡さん…、痛くて苦しい、です…』
「!!ごめん…、つい力が入った…」
…つい、の力レベルじゃないよ。
私の訴えを聞いてくれると
ようやく腕の力を緩めてくれたけど
もしずっと力強いままだったら
窒息していた気がする…。
改めて、冨岡さんが柱であることから
化け物並みの腕力の持ち主なんだと思い知らされて鳥肌が立った…。
「…俺も、お前の事しか目に入らない。」
『え…?』
「の事になると
俺は冷静でいられなくなる……。
他の男に迫られていたら不安になる…。
情けないな…」
『そんなことないです!
私、冨岡さんのそういう一面が見れて
ちょっと嬉しかったんですよ?』
「…そうなのか?」
『だって、冨岡さんに想われてるって
改めて実感できましたから!
全然情けなくなんかないですよ?』
「…。
お前はいつも正直に答えてくれる…
のそういうところに……
…愛おしさが日々増していく。」
『私も、ですよ…?
冨岡さんに会う度に……好きだなって思う気持ちが大きくなってますから…』
「っ…」
…私の言葉を聞いた冨岡さんは
私の体を抱きしめながら
一瞬、肩をピクッと震わせていた。
「お前は…、俺を煽っているのか?」
『!?!?別にっ、そんなつもりじゃ…っ』
…なんで煽ってるって捉えられたのか
理由が分からずにいると
冨岡さんは私の肩を掴んで身を離していて…
『……、…。』
「っ…」
…名前を呼ばれて顔を上げると
冨岡さんの顔が近付いてきた。