第13章 浮名
煉獄さんが亡くなった事はすごく悲しいし悔しいけど…
いつまでも立ち止まって悲しむのは
煉獄さんはきっと望んでいないはずで…
前を向いて、全力で人生を歩んで欲しい…
絶対にそう思ってるはずだから。
「ありがとうございます、さん。
まだ私は自分のやりたい事が見つけられていませんけど、いつか絶対、皆さんの役に立てるような人間になります。」
『千寿郎くんなら大丈夫!絶対なれる!
私も応援してるから
これからも時々ここに来ていいかな?』
「勿論です!いつでも来て下さいね!」
『うん!ありがと〜!!』
この屋敷に来れば
稽古をつけてもらった時のことを思い出して
煉獄さんに背中を押してもらえそうな気がするし
これからもずっと千寿郎くんと仲良くしていきたいから、いつでも来ていいと言ってくれて嬉しく思えた。
そして、そのまましばらくの間
雑談をして楽しんだ後、蝶屋敷に戻らないといけない時間になって、私は煉獄家を後にした。
屋敷の門の外まで見送ってくれた千寿郎くんは
歩き出した私に、手を大きく振り続けてくれた。
あまりにも可愛すぎる行為に
私は上機嫌になりながら蝶屋敷に戻って来た。
『たっだいま〜!』
キヨ「あっ、さんおかえりなさい!
随分とご機嫌のようですね!」
『うん!!楽しい時間過ごして来たから!』
キヨ「それは良かったです〜!
あっ、そうだ!
先程水柱様がいらっしゃって
さんが帰ってくるのを
お待ちになっているんですけど…」
『え…!?冨岡さんが…!?』
キヨちゃんから
冨岡さんがいる場所が縁側だと聞いて
私はすぐに走って向かった。
通路を曲がると目に映ったのは
縁側に綺麗な姿勢で座り、庭を眺めている冨岡さんの姿。
横顔すらもカッコ良すぎて
見惚れながら近付いていくと
私の存在に気付いた冨岡さんは顔を横に向けて、私と視線を合わせてきた。