第12章 真意
でも、この人はいつも無表情だから
本当にそう思ってるかどうかは分からない。
それにさっきまで泣いてる私を
ずっと抱き締めてくれてて、今も側にいてくれるし…
告白は断っちゃったけど
嫌われてはいないって思っても…
いいんだよね…?
「…。」
『…?はい。』
「お前は……俺の事が嫌いか?」
『!?!?嫌いじゃないですよ!!
どうしてそんなこと…』
「先日俺の気持ちを伝えたら断れたからな…。俺はいつも上手く喋れないし、お前に好かれる要素など何一つない。
だから嫌われているのだと…」
『そんな事ないですよ!!』
…冨岡さんって
こんなに自己評価低い人だったの!?
っていうか私の気持ちなんて
しのぶちゃんや蜜璃ちゃん、それに煉獄さんにもバレバレだったのに…!!
『冨岡さんは凄くいい人です!!
私の事を何度も助けてくれたし、
雪の呼吸を身に付けられたのも冨岡さんのおかげなんですよ!?それに、私が怪我をした時や、稽古で疲れている時に
わざわざ蝶屋敷まで送ってくれたじゃないですか!!
指令に従っただけかもしれないですけど
今の私があるのは、冨岡さんがいてくれたからで
嫌いだなんてありえません!!
むしろ……っ…、
……大好き、なんですから…。』
「っ……!?本当か…?」
『もう…本当ですよ…。
勢い余って言っちゃったじゃないですか…』
「…ならば何故、あの時は言わなかった?」
『それ、は……』
…冨岡さんへの素直な気持ちを伝えた以上
もう逃げる訳にはいかないよね。
煉獄さんが言っていたように
冨岡さんは優しくて、きっと私の全てを受け止めてくれる…
私は、令和にいた頃の自分について
全て話そうと決心し、窓際に座っている冨岡さんの隣に正座をして腰掛けた。
『ちゃんと…話しますね…。
でも、一つだけ約束して欲しい事があるんです…』
「…約束?」
『私の話を聞いて、受け入れられなかった時は
正直にそう言って下さい。…お願いします。』
「…。分かった…、聞かせてくれ。」
『はい…』