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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第10章 突風





木刀が壊れちゃって、これ以上は稽古ができないし
歩けるくらいになったら、蝶屋敷に戻ろう。

それまでは、このまま庭に座って休ませてもらおう、と思っていると、不死川さんは屋敷の方へと歩いて行った。





「…茶ァ入れて来てやる、そこで待ってろ。」

『へっ…!?そんな!!お茶なんていいですよ!!
喉乾いたなら私が淹れてきます!!』

「うるせェな……
疲労困憊した奴が淹れる茶なんか飲めるか、馬鹿が。」


『…。』





…確かに上手く淹れる自信はないけど
もっと優しい言い方してくれたっていいのに!

馬鹿とか言わなくてもいいじゃん!!




心の中で不死川さんに言い返していると
既に不死川さんの姿は見えなくなっていて…


しばらくするとお茶が入ったと声を掛けられ
私はプルプルと震える足を何とか動かして
屋敷の中に入った。



畳が敷いてある部屋には家具が何もなくて
ちゃぶ台が一つだけぽつん、と部屋の中央にあり
その上には湯呑みが二つ置かれていた。




『私の分まで…ありがとうございます。』

「チッ、…黙って早く飲みやがれ。」

『…いただきます。』




不死川さんは柱で上司のような人…


もしこんな人が私のいた時代に存在したら
確実にパワハラで訴えられるだろうな…。



そんな事を考えながら
淹れてもらったお茶を口に含んだ私は
今日の稽古のお礼を改めて伝えた。





『不死川さん、2日間も稽古をつけてくれて
本当にありがとうございました!』

「…別に、御館様の命令だから
俺はそれに従っただけだ。」

『柱の皆さん揃ってそう言いますけど
私は稽古をつけてもらって嬉しいんです。
お陰で自分の弱点や課題も把握できるし…
すっごく感謝してます!!』


「…。フッ、お前、変な奴だなァ…?」


『!!?わ、笑った…っ!
不死川さんが笑ってる!!』




強面風貌で傷痕が目立ってて
どうしても怖い印象がつく不死川さん…



でも笑顔を見たら
そんな印象はどこに行ってしまった。



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