第10章 突風
『良かった〜!
おはぎ食べてくれたんですね!』
「っ!!うるせェっつってんだろうが!!!」
『お味はどうでした?
無難に粒あんのおはぎを選んだんですけど…』
「テメェ…、俺の話聞いてんのか!?!?
黙れ!!」
『そんなに怒らないで下さいよ〜。
不死川さんに稽古をつけてもらう時は
また買って来ますから。』
「……。勝手にしろ。」
…やっぱりおはぎ好きなんだ。
見た目は厳つい風貌だけど
おはぎ好きなのは何か可愛いなぁ。
怒らせないように笑いを堪えながら
私はまた木刀を持って不死川さんに向かって行った。
『今日もよろしくお願いします!』
「フンッ、まぁ打ち込み台より
テメェを相手にする方がマシなのは認めてやるが……昨日同様手加減する気はねェ…、
分かってンな?」
『臨むところです!!』
大丈夫…
昨日の稽古で不死川さんのスピードには慣れたはずだし、今日は昨日よりまともに相手をする事も出来るはず。
ゆっくりと息を吐いて吸って呼吸を整えていると、不死川さんは口角を上げて微笑んだ。
「といったか…、
他の女と違って根性があるのも認めてやらァ!!」
『っ、うわッ…!!』
不死川さんは話終わった瞬間
昨日と同じような太刀を入れてきた。
その速さと威力に木刀を持つ手がビリビリと痺れたけど、私も簡単には負けないように、攻撃を仕掛けていった。
「弐ノ型…、爪々・科戸風…!」
『すぅーっ…、雪の呼吸壱ノ型…!!』
私の粉雪斬りは
不死川さんが繰り出して来た斬撃を斬り
相打ちとなったけど…
安心なんてする間もないまま
不死川さんはまた別の型の技を出して来た。
「肆ノ型…昇上砂塵嵐!」
『参ノ型…、灰雪乱舞!!』
再び出し合った方は、また相打ちとなったけど
私達の攻防はそのまましばらく続いた…。
「はァ……、雪の呼吸ッつーのは…
なかなか厄介な型してやがるなァ…」
『はぁっ、はぁ…
不死川さんの風の呼吸に比べたら…
まだまだですけどね…』
…でも、下弦の鬼を倒した時よりも
私の型の完成度は上がってきてる。