第10章 突風
ーーー…
『えーっと…、ここ…だよね…?』
手に持っている地図で場所を確認して
間違っていない事に安心した私は
屋敷の門の前に立っていた。
……だから屋敷デカすぎるんだって!!!
もう見慣れている筈なのに
どうしても毎回突っ込む気持ちを抑えられない私。
柱の屋敷に来て
門をくぐる度に極度の緊張を感じさせられ
今日も今日とて、私は深呼吸をし気合をいれてから
門を開けて敷地内に足を踏み入れた。
『ごめん下さ〜い…
不死川さんいらっしゃいますか〜?』
玄関の扉の外から声をかけると
中から足音が聞こえて、在宅だった事に安心していると、目の前の扉が勢いよく開いた。
「チッ、ンだよテメェ…本当に来やがったのか。」
『…。こ、こんにちは…』
…第一声が舌打ちって。
まぁ、柱合会議での一件で
この人が舌打ちをするような人だとは分かってたけど、私はあまり不死川さんに快く思われていないみたい…。
でも
この前手当てさせてもらった左腕の怪我は、もう既に治っていて傷跡も残ってなかったから、私はホッと胸を撫で下ろした。
『良かった…、腕の傷は良くなったみたいですね!』
「あんなの傷のうちに入んねーよ。」
…いや、傷は傷でしょ。
本当は口に出して言いたかったけど
そんなこと言ったら益々嫌われそうだから
心の中で思うだけに留めておいた。
『では、今日の稽古、よろしくお願いします!』
「チッ…」
…また舌打ち。
この人普通に返事出来ないのかな…?
無視されるよりはいいけど。
「言っておくが、俺は他の柱達みてぇに
お前に教える気はねぇからな?」
『じゃあ…、どんな稽古を…?』
「只管実戦形式で打ち合う、…単純でいいだろォ?」
『あはは…、そうですね…』
…確かに単純で分かりやすいのはいいけど
なんか凄く嫌な予感がする。
そんな私にお構いなしの不死川さんは
履き物を吐いて中庭の方へと向かい
私は後をついて行った。