第9章 修練
商店街を出て
田んぼが連なっている道を2人で歩く。
何か会話になるようなネタがないか考えていると、私はこの前、御館様の屋敷での出来事を思い出した。
『あの…、この前は大丈夫でしたか?』
「??この前…?」
『那田蜘蛛山での事です。
鬼を逃したことで、隊律違反だと見做されて
処罰を受けることになるかもって……。』
「あぁ…、あの時の事か…。
処罰は受ける必要が無くなった、
鬼の禰󠄀豆子が、人間を襲わないと証明出来たからな。」
『そうでしたか…、よかったです!』
禰󠄀豆子ちゃんは私も蝶屋敷で何度か一緒に遊んだけど、鬼とは思えないほど可愛い子。
炭治郎くんから聞いた話では
禰󠄀豆子ちゃんはもう2年以上、人を襲っていないらしいから…
いつか、鬼から人間に戻る日が来るといいな…
兄妹である2人を見る度に、私はいつもそう願ってる。
「あいつらは今
蝶屋敷で過ごしているそうだな?」
『はい!炭治郎くんは全集中・常中を身に付けるために
善逸くんと伊之助くんと一緒に
毎日訓練に励んでいますよ?』
「そうか…。
アイツらはまだ若いが根性はある…
引き続き面倒を見てやってくれ。」
『勿論です!』
あの3人はかなり個性的だけど
特に最近は訓練に前向きで、すごく努力してる。
若い子達が頑張っている姿を見ると
私も負けないように、もっと頑張ろうってそう思わせてくれるんだよね。
それに…
炭治郎くんと伊之助くんは
私と同じように、冨岡さんに命を救われたから
すごく親近感が湧いた。
2人とも冨岡さんには感謝してたから
もっと強くなって
冨岡さんが困った時に助けられるような力を身に付けたい…
きっとそんな気持ちを抱えているはずだ。
…まぁ、私の場合は
冨岡さんに別の気持ちも抱いているんだけどね。
そう考えるとまた恥ずかしい気持ちになって
その後はあまり話をすることがないまま、蝶屋敷に到着した。