第9章 修練
…似合わないとは、微塵も思っていない。
寧ろあの色の着物は
の美しさを際立て、色気を放ち
一度見たら忘れられないような姿…
既に俺の目には
先程のの姿が焼き付いてしまっている。
思い出すだけで口元が緩みそうになるほど…
とてつもなく、似合っていた…。
「悪かった…。
を悲しませるつもりはなかったんだ…」
蜜「それならちゃんに謝ってね!?
じゃないと私も許さないから!!」
…甘露寺は、
いつの間にと仲良くなったのだろうか。
同じ女性だから親しみやすかったのかもしれないが、俺は甘露寺が怒るところなど見た事がなく…
今、目の前にいる彼女は
を悲しませた俺に対して怒りを露わにしている。
胡蝶と同じように
甘露寺もの人の良さに惹かれたのか?
…は本当に誰からも好かれる奴なんだな、
俺とは大違いだ……。
「甘露寺…、お前がに
着物を着せたと言っていたな?」
蜜「うん…?そ、そうだけど…」
「今後、にあのような格好をさせるな。
また先程の男のような輩が
に危害を加えたら……
俺はその人物を殺してしまうかもしれない。」
蜜「へっ……!?え、え、冨岡さん…
まさかそれって…」
「…?なんだ?」
蜜「い、いや…。あのね…っ、
……、だめーっ!やっぱり言えない!!
気にしないで!!」
「??」
1人で興奮状態の甘露寺を不思議に思っていると
彼女は急にハッとした顔に変化していた。
蜜「そ、そうだ…!
私この後用事があったんだった〜!!
冨岡さん、もし時間があるなら
ちゃんと2人でお出掛けしてきて!」
「??何故俺が…」
蜜「いいからっ!
ちゃん稽古で疲れてて
元気が出るように楽しませてあげてね!?
あ、あとさっきの事もちゃんと謝るんだよ!?
じゃあ、よろしくね〜!!」
「お、おい…、甘露寺!……。」
…引き止める暇もなく
甘露寺はすぐに走り去り、呆然としている間に姿は見えなくなった。