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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第2章 大正




人を食べていたその人は
私と同じ言葉を喋るけど、見た目が普通じゃない…


頭にはツノ、歯の牙が鋭く飛び出ていて
手の爪も異様に長い…



まるで、物語に出てきそうな妖怪の風貌だった。





『あっ……あ、ぁ…』



…怖い。



人を食べる妖怪に、私の事情を話して
助けを求めたって、とても聞いてもらえるとは思えない。


さっき、私のことを見て美味そう、とか言ってたし
この人は間違いなく…


私のことも殺す気なんだろう。






「お前、珍しい格好してるなぁ?
この辺りの人間じゃねぇのか?」


『ひっ…ぅ…』




妖怪が私の方へ、一歩歩みを進めただけなのに
恐怖で足がすくんだ。



ガタガタと全身が震えて
早く逃げろと、頭の中で警報が鳴っている。


目には涙が滲んできて、うまく呼吸もできない…




『はっ…は…ぁ…』

「その様子だと、お前鬼殺隊じゃねぇようだなァ…?」

『キ、キサツ、タイ…?』






妖怪はニヤリ、と笑うと
足を踏み切って、私の方に向かって飛んできた。




『ひゃぁ…ッ…!!』




それを咄嗟に避けた私は
体の震えがさらに激しくなって…


殺されるんだと嫌でも分かり
逃げるために立ちあがろうとすると
その妖怪は足音を立てて、すぐに戻ってきた。





「おいおい、避けてんじゃねェよォ。
さっさと死んで、俺に喰われとっけってェ。」

『…っ、ど、どう、して……
人間、を…食べたい、んです、か…』


「決まってんだろォ?人間の血肉は
栄養がたくさんあってなぁ?
喰うと力が出てくるんだよォ。はははっ」


『っ…』





なんなのその理由は…。



じゃあ、辺りに倒れている人達は
そんな理由でこの妖怪に殺されたっていうの…?


妖怪の…意味不明な欲望のせいで…?





とても信じられずにいると
妖怪はニヤニヤと笑いながら、少しずつ私の方に歩みを進めた。




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