第8章 上官
『やばいやばいやばい…!!
呑気に話してる場合じゃなかったー!!!』
慌てて門をくぐると
中庭の方から声が聞こえて、私は急いでそこに向かった。
『す、すみません…!遅くなりました…!!』
…声を発したことで
柱の皆さんが全員私に一斉注目。
騒がしい奴がやって来たって思われちゃったかな…。
しのぶちゃんと冨岡さん、
御館様以外は全員初対面だけど…
柱と呼ばれているだけあって
みんなそれぞれ貫禄があり、一目見ただけで
相当強い人達なんだと察することができた。
「、来てくれたんだね。
夜通し働いてくれていたのに、急に呼び立てて申し訳なかったかな。」
『い、いえ!全然大丈夫です!
それより来るのが遅くなってしまって、申し訳ありません!』
「大丈夫、頃合いは丁度良いよ。
…こっちに来てくれるかい?柱の皆も中へ。」
「「「…御意。」」」
柱の人達が順番に部屋へ入って行き
私も後に続いて履き物を脱いで、部屋に上がった。
…その時、冨岡さんが一瞬
私の方をチラリと見た気がしたけど
特に何も声を掛けられないまま、部屋に入って行った。
そんな冨岡さんを見た私は
那田蜘蛛山で、しのぶちゃんに隊律違反って言われてたけど、冨岡さんも何らかの処分を受けることになったのか…
それがすごく心配になった。
…でも、
部屋に入った途端
冨岡さんのことより、もっと気になる事ができてしまった。
『!?え、血…!?
畳に血の痕がありますけど!?』
し「あ、それは先程不死川さんが…」
『怪我人がいるの!?どこに…
あ!貴方ですね!?』
正座をして座っている柱達を順番に見ていると
顔や腕に沢山の傷跡が残っている人がいて
その人の腕には真新しい傷があり
血が滲んでいた。
『…御館様、少しだけ時間を下さい。
この人の手当てをしたいんです。』
「はァ?何なんだテメェは…!!
気安く触んじゃねぇ!!」
『動かないで下さい。
すぐに終わりますから…』
「っ、触んなって言ってんだろーが!!」
『…。』
怒った様子の不死川さん、という男性は
怪我をしている腕に力を入れて私の手を振り払おうとしてきた。