第8章 上官
『はぁ〜…」
カ「オ疲レ、。」
『あ…、カヨちゃん…ありがとう…』
仕事を終えて山の麓から通りに出ると
鎹鴉のカヨちゃんが私の肩に降り立った。
指で喉元を撫でて上げると
くすぐったそうに体を捩るカヨちゃんは
初めて会った時よりも私に懐いてくれた。
最初はかなり嫌われていたけど
毎日のように話し掛けて、カラスの好物を何度もあげたら、私に対する嫌悪は無くなったみたい。
『しのぶちゃんと…、冨岡さんはもう下山した?』
「数時間前ニ下山シテタヨ。」
『じゃあ…、女の子の鬼を連れた男の子は…?』
「御館様ノ屋敷ニ連レテ行カレタ。
ドンナ理由ガアッタトシテモ、鬼ヲ連レテイタカラ……、キット今頃、裁判ヲ受ケテル。」
『裁判…?』
「柱合裁判…、柱達ニヨッテ
鬼ヲ連レテイタ事ニ対スル処罰ヲ決定スルノ。」
そんな裁判があるんだ…。
鬼を連れていた事で
そこまで大事になるとは思わなかったけど、鬼は平気で人の命を何人、何百人と奪って来てるから、簡単に許されるはずもなくて、隊律違反と見なされても仕方がない。
私も、まさか鬼を連れていた隊士がいるなんて
思いもしなかったから。
…けど、御館様ならきっと
誰もが納得できる賢明な判断を下すはず。
優しい心を持った御館様だから
男の子の隊士を死刑にする、なんてことは絶対にしないだろう。
トボトボと蝶屋敷までの道を歩きながら
裁判の結果について考えていると
空からカラスの鳴き声が聞こえて来て…
そのカラスは、私の目の前の地面に降り立った。
「 殿。」
『??は、はい…。』
「御館様ガ貴方ヲオ呼ビデス…
今カラ産屋敷邸ニイラシテ下サイ。」
『え…!?今からですか!?
でも今日は…裁判と柱合会議があるんじゃ…?』
「柱達ニ、貴方ヲ紹介シタイソウデス。」
…なんで急に!?
いきなりそんな事言われても
心の準備が出来てないんだけど!?