第8章 上官
しのぶちゃんのお姉さんは
鬼殺隊の柱だったらしいけど…
数年前、鬼に殺されてしまったらしい。
しのぶちゃんだけじゃなくて
アオイちゃんも、キヨちゃんも、スミちゃんも、ナホちゃんも……
鬼によって身内を殺されている。
そんなみんなの心情を
想像するだけで私は胸が苦しくなって……
可哀想、という言葉では足りないくらいの悲しみと苦しみが湧き上がり、
みんなに変わって、私が沢山鬼を葬ってやろうと…
そんな思いだった。
『しのぶちゃん、お姉さんの大事な刀を
ずっと私に貸してくれて…本当にありがとう。」
「さん…」
『これからは自分の刀で
沢山の鬼を倒してやるから…期待しててね?』
「っ…、ありがとう、さん。
きっと姉さんも…、刀を使ってくれたのがさんだった事に喜んでると思います。」
『あはは、そう思ってくれてたら私も嬉しいよ。』
一度会ってみたかったなぁ…
しのぶちゃんのお姉さんに。
そう思っていると、しのぶちゃんの部屋の襖が開き、そこからアオイちゃんが顔を覗かせた。
ア「しのぶ様、さん。
刀鍛冶の鋼鐵塚さんがお見えになりました。」
し「分かりました。行きましょう、さん。」
『うん!』
私の刀を打ってくれた人
鋼鐵塚さんって人なんだ…
一体どんな人なんだろう…
大事な刀を打ってくれたんだから
失礼のないようにしないと。
気を引き締めながら、別室で待っている鋼鐵塚さんの元にしのぶちゃんと向かい
部屋の前に到着してから深呼吸をし、私は襖を開けた。
し「失礼致します。鋼鐵塚さん、お待たせしました。」
「…。そいつがか。」
『あ、はい! と申します!
よろしくお願いします!』
自己紹介をしてから頭を下げて
しのぶちゃんと共に鋼鐵塚さんの向かいに座ると…
『…え。ひょっとこ、の…お面…?』
し「刀鍛冶の方は、皆このお面をつけています。
あまりお気になさらず。」
…いや、気になるよ。
私の時代でこんなお面つけて歩いてたら
不審者扱いされて通報されるって。