第8章 上官
「俺は鋼鐵塚という者だ。
の刀を打ち、持参した。」
『ぁ…。わざわざありがとうございます…!』
「これが日輪刀だ…。一年中、陽光が差す山で採れる鉄を元に造られている。大切に扱え。」
『は、はいっ…』
鋼鐵塚さんから刀を受け取ると
黒い色の鞘には、白の模様が点々と施されていて
鍔の形は雪の結晶をモチーフに綺麗な六角形…
刀を握る部分の柄は水色で、そこにも鞘と同様
白い模様が描かれていた。
『うわぁ…、すごく素敵な刀ですね…!』
「…雪の呼吸を使う剣士相手に刀を打ったのは初めてだからな。少々外観にも気を配った。」
『そうなんですか!?
ありがとうございます!!
めちゃくちゃ気に入りました!!』
あまり刀の外観にこだわりは無かったけど
鋼鐵塚さんのデザインは凄く素敵で可愛くて…
渋い声をした鋼鐵塚さんだけど
こんなに可愛い刀を造れる人なんだ…。
そのギャップには驚かされたけど
私は感動して、色んな角度から刀を眺めた。
「外観はもういいから早く刀を抜け。
日輪刀は別名、色変わりの刀と呼ばれている…
俺は早く刃の色が変わる所を見てぇんだよ。」
『あっ、そうですよね…、すみません…』
ムスッとした鋼鐵塚さんの声を聞いた私は
すぐに鞘から刀を抜いた。
「頼むから黒色だけにはするんじゃねぇぞ…。
この前新米隊士に打った刀で、漆黒を見させられたばかりなんだからな。」
『え……、』
そんなこと私に言われても困るのに…!!
でも、不機嫌オーラが出ている鋼鐵塚さんに
私は何も言えなくて…
お願いだから黒にはなりませんように…
と祈る気持ちで柄を握ったまま刀を眺めていると
刀身の色が白っぽい灰色から、みるみるうちに変化していった。
『これって……白、かな…』
し「いえ、白というより…」
鋼「透明…だな…」
『透明…』
確かに普通の白色より色は薄くて
角度を変えて光に当ててみると、透けているように見える…。
黒色にはならなかったから
その点は安心出来たけど…
私は透明のように変化した刀から
鋼鐵塚さんの反応を恐る恐る視線を移した。