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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第7章 当主






「さん、失礼しますよ。」


『えっ…?しのぶちゃん…?、っ……!?」





返事をする前に、襖はスパンッ、と勢いよく開き
しのぶちゃんの顔を見ると…


……今まで見た事がないほどの
殺気を感じる笑顔を浮かべていた。




やばい…

なんかすっごく怒ってる…


何日も帰れなかった事を怒ってるのかな…


それともずっと連絡しなかった事かな…



理由は何にせよ、とりあえず謝ろうと口を開きかけると、しのぶちゃんはスタスタと私の元に近付いてきて…






パシッ



『っ……』




ジンジンと頬が痛む事で
私はしのぶちゃんに平手打ちをされたようだった。




『し、しのぶちゃん…?』

「貴方は一体……何を考えているんですか…」

『ご、ごめん…。ずっと連絡してなくて…
屋敷の仕事……怪我が良くなったらやるから…』

「っ、そんな事を言ってる訳ではありません。
どうしてたった一人で
鬼のいる場所に向かったんですか?
私が…私達がどれほど心配したか…
貴方はちゃんと分かってますか!?」


『っ…、』




そう…だよね……


しのぶちゃん達には
冨岡さんの屋敷に行くって言っただけだったし…


私自身も鬼と戦うとは思ってなかったけど
いつまでも帰って来ない私の事を…

優しいしのぶちゃんなら
心配してくれていたに違いない。



…現に今も、手を強く握り締めて
紫色の綺麗な瞳から涙が溢れ落ちそうなのを我慢してるから。





「前にも言いましたよね、
無茶なことはしないで下さいって…。
姉さんのように
さんまでいなくなったら……、
私……」



『っ、しのぶちゃん…、ごめんね…。
本当にごめん……っ、ごめんなさい…』





しのぶちゃんの想いが痛い程伝わってきて
私は涙を溢しながら謝罪をした。


俯いて謝る私を
しのぶちゃんはギュッと優しく抱きしめてくれて…
彼女の暖かい体温を感じたら、涙はとめどなく溢れてきた。













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