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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第1章 現代




『…今……なんとおっしゃいました…?』

「だからね、この病院を退職してもらいたいんだ。」

『!!そんな…、どうして、急に…』




病院長の言っている意味がわからず
頭の中で理解するのに時間がかかった。


退職して欲しい理由を尋ねると
病院長は小さくため息をついたから口を開いた。





「君のお母さんが殺害されたあの事件…
もうすでに病院内にいる患者さんや
医師達の耳にも入っていてね…
少し騒ぎにもなっているから、そういうのは困るんだよ。」


『そ、んな…』


「君が何も悪くないのは分かっているが
このままでは、この病院の名誉に関わる。
すでに他の病院の人間にも、君のことは知れ渡っているようなんだ。』





…ようするに、病院の評判を下げたくないから
私に辞めて欲しいってことじゃん。


どうして私が辞めなきゃならないの…?


私は母を殺された被害者なのに…


どうして私が、厄介者のような扱いをされてるの…?





「退職金はちゃんと出すから
出来れば今日中に退職届を書いて提出して欲しい。」


『っ、あの、私…!
あんな事件があったけど、噂とかそういうの…
気にしないようにしますから…!
これまで以上に頑張って働きます!だから…!』


「君が気にしなくても、世間は気にするんだよ。
実際、君のお母さんも実は薬物依存症で
娘である君が、病院から薬品を持ち出したんじゃないかと、噂話に尾ひれがついてきている。」


『事実無根です!!私はそんなことしていません!!』


「既に薬剤師には一応調べさせたから、君が潔白なのは分かっているよ。だがな…、これ以上根も葉もない噂を立てられたら、患者さんからの信用を失うことになる。」


『っ…』


「薬品を持ち出したという噂も
すでに他の病院へ流れてしまっている。
恐らくもう、看護師として働くのは難しいだろうが…
君はまだ若い、新たな職業に転嫁するいい機会だと思う。」





そんな言い方ずるいよ…!!



私がどれだけ必死に勉強して
看護師の国家資格を取ったか…


お金を稼ぐ為に決めた仕事だったけど
毎日必死に、一生懸命働いてきたのに…。




病院長に言われた言葉で
これまで私が培ってきたものが
全て無になったみたいで…


頭の中でガラガラと崩れ落ちていくような音がした。

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