第7章 当主
「君は優しい子だね…。
自分が怪我をしているのに
僕の心配をしてくれるなんて…。
確かに病気を患っているけど、寝込む程ではないから大丈夫。」
『そう…なんですか……』
「自己紹介がまだだったね?
私の名は産屋敷 耀哉…。産屋敷一族、そして
鬼殺隊第97代目の当主でもある。
彼女は僕の妻、名はあまねだよ。」
「宜しくお願い致します。」
産屋敷さんって、まさか……
みんなから御館様って呼ばれてる人だよね…?
この人が鬼殺隊のリーダーってこと…?
……イメージしてた人相と全然違う。
鬼殺隊の当主と呼ばれている人だから
もっと厳つくて、怖そうな人だと思ってたのに
完全に正反対の印象だった。
『ぁ…、わ、私は… と申します…。
ご挨拶が遅れて…申し訳ありませんでした…。』
「そんなに畏まらなくていいよ。
私は別に偉くも何ともない、ただの人間なんだ。
君は気さくに話をしてくれていいんだよ。」
…それは流石に無理だよ。
鬼殺隊の人達…、特に柱の人達はみんな
御館様のことをすごく慕ってるみたいだし
鬼殺隊への入隊を決めた私にとっても
この人は上司のような人だもん。
「……
君の事はしのぶから少し聞いているよ。
未来の時代からやって来たそうだね?」
『っ、はい…』
「君の働きにはとても感謝している。
傷を負った隊士達の世話を
率先してやってくれているそうだね?
それに……鬼を狩る為の鍛錬も。」
『そんな…、感謝される程の事は何も…』
「しのぶは何度か君の話をしていたんだ。
まるでもう1人の姉が出来たようだと…
本当に嬉しそうだったから、私も嬉しくてね。
一度君と話をしたかったんだ。」
う〜ん…
私よりしのぶちゃんの方がしっかりしてるし
私にお姉さん要素は全然ない気がするんだけどなぁ…。
…でも、令和時代の私は一人っ子だったから
私を姉のように思ってくれるのはすごく嬉しかった。