第6章 唐突
山でと初めて会ったあの時から…
俺は…を失いたくない…
ずっとそう思っていた。
「……。…」
長めの階段を登り切ると神社の鳥居が見え
無意識にの名を口にし、辺りを見回していると…
「あぁぁぁぁぁ…ーーッ!!!!!!」
「!!!」
…とは違う声の女の悲鳴が聞こえ
声がした方へ駆け出すと、鬼の姿を捉えた。
だが……
その女の鬼の首は斬られており
地面に転がっていて、塵となり、消えかかっているところだった。
そして…
その鬼の近くには
刀を握り締めたまま倒れているの姿も視界に入った。
「っ、……!!!」
慌てて彼女のそばに駆け寄り、体を抱き起こして状態を確認すると、所々負傷はしているが、致命傷となるような怪我は無く…
どうやら力尽きて、意識を失っているだけのようだった。
「あぁぁぁぁッ…!!!クソッ、クソッ…!!
こんな女にアタシが…!!!
アタシが負けるわけないのに…!!!!
ふざけんなクソがァァァ!!!」
「…。」
鬼が負けたと口にしたという事は…
がこの女鬼を倒したのか…?
斬られた首を見ると、鬼の目には下弦の肆の文字…
十二鬼月であるこの鬼を本当にが…?
とても信じられなかったが
体が崩れていくことで泣き喚いている鬼の様子からして、嘘を吐いているとは思えず…
下弦の鬼を倒したのはだという事実を実感していると、鬼の体は全て塵となり消えていった。
「…こんなに……傷だらけになってまで…」
体の所々から血が滲んでいるを見ると
こいつがどれほど必死に戦ったのか分かる。
俺と長時間稽古をした為
の体には疲労がたまっていたはずだ…
なのにお前は……命懸けで鬼を倒したんだな…。
俺の腕の中で穏やかに眠っているを心から誇らしく思っていると、離れた場所から物音が聞こえ、警戒しながら目を向けると
鬼殺隊の隊服を来た男が1人、腹を押さえながら近づいてきた。