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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第6章 唐突




…だが、走りながら俺の脳裏には
の笑顔ばかりが思い浮かぶ。


役立つ人材だからといって
なぜ俺はこんなにも必死になり、速い速度で走っているのだろうか…。



他の隊士が同じ状況だった時
俺は焦っていただろうか…。



に対する感情は
これまでに一度も味わった事がないもの…



…、一体俺の中で何が起きた?

このよく分からない感覚は何だ…?


今回のような事態が起きる以前にも
ふとした時に、頭の中にの顔が思い浮かんでいたが…



その理由は、考えても考えても答えが出て来なかった。





「義勇…、アノ娘が戦場ニ向カッタノハ…
生キテイル隊士ヲ助ケル為ダァ…
負傷シタ隊士ガ、ソウ言ッテタ。」

「っ、…。」

「…イイ女ダナ?人間ノ命ヲ尊ク思ッテル。」




…鴉の言う通りだ。



助けたいから、と言って
強い敵がいる場所に、己の危険も顧みず向かうとは
簡単に出来る事ではない。



はそれほど
命の尊さ、儚さを重んじているのだろう…。




隊士一人一人の命を大切に思う、優しい心を持った…


絶対に死なせはしない。



だから頼む……どうか間に合ってくれ…。


俺が到着するまで、どうか…

どうか生きていてくれ。





「目的地、マモナク到着。
コノ先ニアル神社ダァ。」

「承知した。」




住宅街を通り過ぎ、ひたすら走り続けていると
聞いていた通りの神社に漸く到着し、階段を駆け上った。



その途中には
複数人の隊士の遺体が転がっていたが…


死者を弔うのは、鬼を滅殺した後だ。



今は生存者確認と、鬼の滅殺が最優先。



だが、も隊士達の惨い遺体を見たはず。


無念だっただろう…。


心優しいは、相当胸を痛めただろう…。


…俺も何度か同じ思いをした。


隊士の遺体を見る度、やるせない気持ちになり
もう少し早く到着できていれば…、と何度も後悔した。



…には俺と同じような気持ちを抱えて欲しくない。




あいつには…



辛そうな顔よりも
穏やかに、そして太陽のように明るく笑う笑顔の方が似合っているから。







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