第8章 死神と水の呼吸
水柱邸に着いた2人は柊の荷物の整理を行っていた。
義勇が手に持つぴろっと広げる布を見て驚く
(忘れていた、下着もあったな。)
「っっ!これはいい!…私の私物だ…。」
すぐさま義勇の手から奪い取る。
「すまない、やっぱり見られると困る物もあった…。」
「ただの手拭いのように見えたが、紐付きの。」
カァァと顔を赤く染めて行く柊。
「なんだ?大丈夫か?」心配そうにこちらを見ているが、この布の正体を知るまでここを離れそうにない。
「これは、下着だ…義勇には…というか男性には手に余る物だろう。自分で仕舞うから義勇はあっちを頼む。」
『下着』そのワードに義勇は気まずそうに目を逸らす。
「すまん。」
「「………。」」
黙々と作業する2人。気まずさもそうだが、元々2人とも口数は少ないため布の擦れる音だけが響く。
「義勇。ありがとう。屋敷の準備もそうだが、呼吸の指導も。」
「御館様からの命令だからな。それに…友人のためだ。俺にできる事ならしてあげたいと思うのは普通だろ。」
「友人…。ふふ。この世界に来て友人が増えた。これからもよろしく頼むよ。」
昼からは早速水の呼吸の指導に入る。
まずは一通り義勇が型を出してそれを柊が見る。
流れるような美しい動きに思わず見惚れる。
「炎の呼吸も綺麗だったが、水の呼吸もとても美しいな。」
「俺もそう思う。水は全ての呼吸の基本となる呼吸だ。凡用性が高く使いやすい。その分型の数も他に比べて多いが。」
確かに水の呼吸はその場での応用が効きやすいと感じた。
「一度に全て覚えなくてもいい。とりあえず壱ノ型から順番に習得して行こう。」
「あぁ、よろしく頼む。」
こうして義勇との鍛錬が進んでいった。