第7章 死神と蝶屋敷
「霊子についてですね。これは本当にわたしの見解で憶測の域を越えないのですが。」
そう前置きを置くしのぶに構わないと話を聞く。
「現状、柊さんはこの世に存在していますし、実態があるので『霊子』という概念を一旦取っ払ってみたんです。柊さんは『チャクラ』ってご存知ですか?」
「確かヒンドゥー教という宗派の教えに出てくるものだな。精神と肉体を繋ぐ目には見えない力。だったか?」
「流石は柊さん。物知りですね。ただ、本来のチャクラはもっと細かく部類分けかれてるのでここで言うチャクラはお互いの世界に存在する共通の知識として便宜上、チャクラと仮定します。」
しのぶの前置きの話をこくりと聞く。
「おそらく、柊さんの世界にも、この世界にもチャクラは存在し、私たち鬼殺隊もそのチャクラを使う事によって呼吸の技を出しています。そしてそのチャクラの器は人によって大きさと色は様々。色は適正に合った呼吸。大きさはその人の強さです。柊さんもきっと大きな器を持っているはずなので疲れやすい本来の力が出ない。と言うのはあり得ない。」
「器が違う…異世界だから、器の材質が違うようなものか…似て否なる世界。同じチャクラを持っていても私のチャクラではこの世界では使えない。」
「えぇ。おっしゃる通りです。柊さんの器には異世界の、この世界で使用できないチャクラで満たされています。生活し、この世界の空気や動植物を摂取する事によってもわずかですがチャクラが集まります。そのわずかなチャクラと元の世界とのチャクラが器の中で混ざり合った物を柊さんは使用しています。ですが割合が問題なんです。」
「元のチャクラが多すぎて食事で集めたチャクラだけでは焼け石に水状態か。」
「そこで煉獄さんとの口付けです!口付ける事によって煉獄さんのチャクラと柊さんのチャクラが流れて混ざり合った。その割合の均衡が取れれば…自ずと答えは見ますね…。」
「あぁ。私は鬼殺隊としてだけではなく、死神としても戦えるようになる。鬼道が使えれば倒す鬼も助ける人さえも増やすことができる。」