第7章 死神と蝶屋敷
日付が変わる頃に蝶屋敷に戻りしのぶを呼ぶ。
簡単に鬼の血鬼術の説明をすると、
「鬼は斬ったんでしょう?なら大丈夫です。時期に目が覚めるでしょう。この子は普段から眠りが浅いのでこの機会にゆっくり寝てもらった方がいいかもしれませんね。」
どうやら血鬼術は鬼が死ねば大抵解ける。もしくは太陽の光に当たっていれば抜けていったりと対処できるそうだ。
「すまない、大事な継ぐ子を危険に晒してしまった。鬼も捕獲できなかった」
「構いませんよ。それより無事でよかったです。精神系の血鬼術は厄介なんです。発動には条件がいるんですけどその条件が複雑ほど強い術になります。今回は鳥居をくぐるだけという簡単な条件でしたから自力で解けましたね。」
不甲斐ない。だがそれよりも
『あらー?柊さん、こんなとこで転がってるなんて無様ですねー。それでも鬼殺隊ですかー?あなたの役割なんて稀血として鬼を誘き寄せる餌しかないですねー」』
「柊さん?どうかしました?どこか具合でも悪いですか?」
夢の中のニコニコと毒を吐くしのぶとは違って心配そうにこちらを覗き込む彼女。
ぎゅっと抱きつく柊。
「あらあら。どうしたんですか?わたしが嫌な夢に出てきましたか?」
抱きしめる腕に力が籠る。
「わたしが傷付く夢でした?それとも…わたしがあなたを傷つける夢でした?」
優しい声色で語りかける。
「夢です。ちょっと頑張り過ぎちゃったんですよ。だから悪ーい夢を見ちゃっただけなんです。だから…もう大丈夫ですよ」
ニコッと笑うしのぶ。
不思議としのぶの優しい声で安心する。
うんと年下の女の子にこんな甘えていいのだろうか。
「うん。ありがとうしのぶ…。」
ふふっと笑いあう2人だった。