第7章 死神と蝶屋敷
そうして柊は義勇としのぶに自身の身の上を全て語った。
「これを知っているのは今のところお館様と煉獄家だけだ。しのぶには私の体を全て調べてほしい。そして義勇にはこれから呼吸について教わる上で私の死神の能力との兼ね合いも見てほしい。何も語らず信用してほしいなんて虫のいい話だからな。」
柊がここまで話すまで2人は黙って話を聞いていた。
「そうか。理解した。」
「そうでしたか…。身一つで何も知らない世界に…」
「………。」2人がすんなりと死神の世界の話に頷く様子に今度は柊が黙り込む。
「どうした?」「どうしました?」心配の声が重なる。
「どうして…信じるんだ?杏寿郎たちもそうだが…今日会ったばかりの人間の…しかもこんな…夢物語の様な話を…。」
「嘘なんですか?」しのぶの言葉に
「違う。」そう即答する柊。
「なら、信じます。ふふふ。こう見えても私、人を見る目はあるんですよ。」
そう茶目っ気を含ませ笑うしのぶに柊は目を丸くし、そしてにこやかに笑い返す。
「あらあら柊さん、笑顔がもの凄く素敵ですね。もっと普段からそうやって笑ったら良いじゃないですか。ねぇ、冨岡さん。」
終始表情を変えずに淡々と語っていた柊の笑顔をしのぶが褒める。そして義勇に同意を求めると
「あぁ、…そうだな。」
「義勇には言われたくない。」
その柊一言にしのぶは肩を振るわせ笑った。
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これから体の診察をするということで義勇は部屋を追い出される。
「なぜだ?」という義勇に
「診察ですよ?なんですか?柊さんの『裸』見たいんですか?ここまで変態だとは知りませんでした。ムッツリなんですねー?」
というしのぶの返しにたじろぎ大人しく部屋から出ていく義勇。
「義勇、話を聞いてくれて、信じてありがとう。3日後にまた迎えに来てくれ。」
柊が扉の取手に手を伸ばす義勇に声をかける。
「あぁ…。…またな。」
「義勇はいつもあぁなのか?」
「そうですねー。口下手というか協調性が無いというか…。困った人です。」