第6章 死神と過去
(息が……!!)
限界寸前の所で杏寿郎の唇が離れる。
「はっ…!はっ…!はぁ…死ぬ…かと思った…。」
「こういう時は鼻で息をするんだ。」
よしよしと頭を撫でながらよく頑張ったと言わんばかりに。
キッと杏寿郎を睨みつける柊。
だが頬を赤く染め、目を潤ませ、甘い息を吐き、肩を振るわせる姿は全く持って怖くない。むしろ可愛らしい。
「なんだ?そんなに可愛く見つめて。怒っているのか?それとも、もっとして欲しいとおねだりしているのか?」
後半の部分を敢えて柊の耳元で低くゆっくりと囁けば赤い顔を更に赤くし、「怒ってる方だっ!!」と返ってきた。
柊の真っ赤に染めた顔を見てクスクスと笑う杏寿郎
「だが、杏寿郎と触れ合うのはやっぱり好きだ…」
「んなっっ!!また君はっ!そのような事をっっ……//」
「…だめ…か?」
目を潤ませて上目遣いで聞いてくる柊。
「いや、だめ…というか…なんというか…。」
モゴモゴと今度は杏寿郎が赤くなる。
「もしもーし。聞こえてますかー?いつまでイチャイチャしてるんですかねー?」
突然の鈴のなるような可愛らしい女性の声が庭先から聞こえてきた。
驚いた2人はその声の主の方を見ると蝶の様な模様の羽織をきた女の子と真紅と毘沙門亀甲柄の片身替わりの羽織を着た青年が立っていた。
「なっ!冨岡!胡蝶!久しぶりだな!息災か?」
「はい、お久しぶりです。…で、いつまで彼女をそうやっていやらしい体勢で抱きかかえているおつもりですか?」
ピキっと青筋が浮かぶ
慌てて柊は杏寿郎の膝から降りて縁側に正座する。
「いや、違うんだ!あー、どこから見ていた…?」
「先ほど彼女の頭を撫でいた所でしょうか。後ろ姿で表情までは見えませんでしたが、とっても良い雰囲気でしたよ?ねー冨岡さん。」
「…煉獄の嫁か…」
「嫁ではないっ!!まてまてっ!話が進まない!2人とも柊に会いに来たのだろう?!」
「…そうでした。初めまして。蟲柱の胡蝶しのぶです。」
「水柱の冨岡義勇だ…」
「リーン柊だ…先ほどは見苦しいとこを見せてすまない…」