第6章 死神と過去
本当に嫌なら突き飛ばせば良い。だが柊は突き飛ばすどころか更に杏寿郎の首に回す腕に力を込め、強く抱きしめる。
その間も杏寿郎は低く甘い声で柊の名前を何度も呼び、可愛いやら綺麗やらと褒め続ける。
「…やっ…//はぁ…あんっっ…!きょっ…ぁっ…じゅろ…ぅんんっっ……//」
はぁはぁと柊の息遣いが荒く、いやらしくなってくる。
「名前を呼んだだけで何故そうなるんだ柊?お館様に呼ばれてもそうはならなかったのに。不思議だなぁ柊。」
意地悪くそう問いかけると。
柊はゆっくり腕を首から下ろし、伏目がちに杏寿郎の方を見る。
「杏寿郎に名前を呼ばれると胸が跳ねる。そして体の奥が締め付けられる感覚になるんだ。杏寿郎の側に行くといつもこうなる。君は私に何かしたのか?」
無自覚とは恐ろしい。脱衣所の時も添い寝の時もそうだが、男に対する警戒心や貞操概念が薄すぎる。
だがこれが庇護欲を掻き立てられ、更に嗜虐心を煽る要因となるのだろう。
「体の奥?それはどこだ?」そう聞くと柊は素直に答える。
だが杏寿郎の予想を上回るのが柊だ。
杏寿郎の手を取り自分の胸に手を当ててくる。
「ん…はぁっ…//…ここ…。胸のここが…すごく高鳴る…//」
開いた胸の隊服の隙間に手を触れさせる柊。
(っん゛ーー!!柊!!君と言う人はっ!!)
だが確かに胸に手を置くとドクドクと激しい鼓動を感じる。
「っあっ//杏寿郎…。」不意に手のひらに力が入り柊の柔らかい胸に指が沈み込むと彼女の嬌声が上がる。
柊は杏寿郎の目を見つめながら更に手を誘導する。下に下にとゆっくりと。
「体の奥っていうのが…ここなんだ…。」
そう示したのはへその下あたり。
「この腹の奥が締め付けらるんだ…杏寿郎…君ならどうにかできるか…?」
カッと目を見開く杏寿郎。グッと腹に触れている手に力がかかる。
「っんぁ…きょ…じゅろぉ…」びくんっと腰が跳ね、甘い声が杏寿郎の耳を刺激する。