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死神の華【鬼滅の刃】

第6章 死神と過去


涙が溢れたと同時に杏寿郎が抱きしめてくれる。

「…うっ…ひっく……。杏…寿郎…っ、うぅ…あ…り…がと…っ」
ボロボロと泣く柊をよしよしと背中を摩りあやす。

「大丈夫だ。もう俺がついてる。俺だけじゃない。父上も千寿郎も君の味方だ。この世界でこれから出会う仲間たちもきっと君の味方になってくれる!」
「…うん…。」

横並びで抱き合うには辛い態勢だったのか、柊が身をよじらす。杏寿郎が膝の上に来るか?と聞くと頷き杏寿郎の膝の上に対面で座り直してきた。

柊は腕を杏寿郎の首に回し、ぎゅーっと抱きつき杏寿郎の肩でグスグスと涙を未だに流し続けている。

(困った。膝に来たのはいいがまさか対面に来るとは思わなかった。てっきり横座りだと思ったのだか…。この態勢……色々と危険だ!)

最初は純粋に柊を心配し、背中や頭をポンポンと撫でていたが、落ち着きを取り戻した頃、今のこの状況が危険に感じた。

顔は見えないがいつもの凛とした強い精神の彼女が子どものように泣いている。更にはタイミングが合わず、前田がよこした問題作の隊服を身につけたままだった事もあり、柊の胸が杏寿郎の胸板に押し付けられている状態だ。

と言うより先ほどから柊の泣き声は止まっており、ピクリとも動かなくなってしまった。よもやまた泣き疲れて寝てしまったのか?

「柊…。」そう肩に乗る彼女の耳元で名前を呼ぶと
ビクッと彼女が全身が跳ねる。

「あ…、すまない、折角君の名前を知れたから呼んでみたのだが…、嫌…だったか…?」
「違う…。嫌じゃない…。むしろ…呼んでほしい…。ただ…びっくりしただけ…。」
その言い方がなんだか可愛いらしくて杏寿郎の悪戯心が芽生える。

「柊。」もう一度名前を呼ぶと
「ひゃっ…!…やっ…杏寿郎…。」同時に甲高い声が跳ねる。
「柊…。柊…。あぁ、本当に君は愛らしいっ」
何度も何度も名前を呼ぶ杏寿郎。その度に柊の口から声が漏れ出る。
「…んっ!…あっ…やっっ…だ…めっっ!」
どうやら耳が弱いらしく喋る度に甘い声を発する。





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